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森林を所有する魅力とは、どんなところにあるのでしょうか。
まず、適切な森林経営を実践することで、より多くの収益をめざす方向があります。
その一方で、収益の向上を追求しない選択もあっていいはずです。
たとえば「先祖から引き継いできた森林を、適切に整備して次代に引き継ぎたい」と思っている方や「定年後の楽しみとして森林経営にチャレンジしたい」という方もいらっしゃるでしょう。社会貢献とご自身の生き甲斐を模索する森林経営という選択もあって良いでしょう。また、森林ボランティアに森林をフィールドとして提供し、より多くの人と森林づくりを通じてコミュニケーションを愉しむ、日常とは異なる時間・空間・作業を愉しむ「豊かな」森林づくりという選択もあるでしょう。
しかし、国内の森林経営は、安い外材が大量に輸入され木材価格が低迷するなど厳しい状況にあり、せっかく所有している森林、とりわけスギ・ヒノキなどを植えた森林を、管理放棄せざるをえない方も少なくありません。
残念ながらこうしたことが森林の荒廃につながっているのです。
森林は、住宅などの不動産とは性格が異なっています。
たとえば、水を育み土砂災害などを防ぐなど、さまざまな公益的な機能を発揮して地域環境を支えています。また、地球温暖化の原因のひとつ二酸化炭素を吸収し酸素を供給するなど、数え切れないほどの働きをしています。
そのため「森林・林業基本法」では、森林の持つ多面的機能が発揮されるために森林所有者の森林整備・保全が図られるように努める責務を明記しています。
森林を所有することとは、単に個人の財産としてではなく、健全に整備していくことで結果的に地域の環境、あるいは地球環境に貢献する、ということを意味しています。
森林は、個人の森林だけで存在しているわけではありません。
所有区分上で森林が分かれていても、実際は連続する一つの森林として存在しています。つまり、「自分の所有地」という財産意識だけにとらわれ無責任な対応をすることは、隣接する所有者にも大きな迷惑をかける可能性もあります。一方、健全な森林管理をすすめていく視点からみれば、地域で一体になることは効果的な森林整備が可能となるわけです。
こうしたことからも森林所有者ひとりひとりが「地域」意識を持つことが大切になってきます。
森林を所有ということは、所有者としての価値観、生き方を反映した森林との関わりを創り出すことができるという一方で、健全に森林を管理していく責務があるということでもあります。
森林経営に関わる知識と情報があれば、夢ある森林経営に一歩近づくことができるのではないでしょうか。
「森林所有者のための初級講座」では、森林所有者や森林に関心のある方々が知っておきたい情報などを掲載します。