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本書は、私たちが森から得ている恵みの一つである「水」を題材にして、森と水と人との関係の歴史、今何がどこまで解明されているかを整理しました。さまざまな森の機能、環境サービスを私たちがどう評価し、それを高めていくのか。「森と水と人の関係」を再構築しようと奮闘している科学者、技術者、行政、森林ボランティア、シンクタンク、企業、市民の皆さんのさまざまな取り組みを現地レポートを交えて紹介しています。
森づくりという現実問題に取り組む際、科学者や研究者を探し、育て、ともに汗を流すことの大事さ、必要十分な知識や情報を入手し、共有し、活用することの有効性を感じていただけることでしょう。地域の人々、森林管理に現場で関わる技術者、従事者、そして科学者、研究者、専門家とともに、社会全体が納得する森林管理を創っていくための手法を探求した一冊です。
1965年生まれ。東京大学農学部林学科卒後、青年海外協力隊員として2年間ボルネオ島(マレーシア)の森林研究所に勤務し、熱帯雨林の研究に従事。東京大学千葉演習林助手を経て、2001年東京大学院農学生命科学研究科附属演習林講師に就任。現在は愛知演習林長。
現場の課題解決を総合的な視点から取り組む研究者であり、市民活動実践者でもある。
編著書に「緑のダム」、「森の健康診断」(築地書館)、「水をめぐるガバナンス」(東信堂)、「森林認証・地域材認証と森林管理・木材利用」、「森林環境税は森を救えるか」(東京大学演習林出版会)など。
序
第1章 森と水をめぐる知見の整理
森と水に関する科学的知見―どこまで解明されたのか―/森林と水害/森林と水資源/森林と水質/森林の環境サービス取引)
第2章 科学的な解明・検証をする仕組み
人々の認識と科学者の認識のギャップ―科学的に完全に把握できるのか―/管理の意思決定方法―完全には把握できないものの管理/修正する手法―見試し、PDCAサイクル、順応的管理/森と水の機能回復を評価する やまぐち森林づくり県民税関連事業評価システムの挑戦/
第3章 科学的な解明に向けた情報を集める仕組み―地域型の情報管理を目指して
地域型の情報管理を目指して―地域内シンクタンクの可能性/地域型の情報管理を目指して―森と水の源流館―/地域型の情報管理を目指して―多摩川源流大学/地域に根ざした学術の融合―流域圏学会の可能性/地域型の情報管理を目指して―情報の共有手段としてのWeb―GIS/
第4章 連携による森林管理の合意形成
流域市民と研究者との関係づくり/国県町・学・民が一体となって照葉樹林を復元する―宮崎・綾の取り組み/国有林の共同管理と治山ダム部分撤去―利根川源流・赤谷プロジェクトの挑戦/愛知県豊田市の挑戦(1)―森づくり条例と100年の森づくり構想/愛知県豊田市の挑戦(2)―森づくり会議とは/水と生きる企業の森づくり サントリー天然水株式会社 奥大山ブナの森工場
第5章 研究者のあるべき姿勢、関わり方
現場と向き合う研究者の悩み/社会に役立つ研究者とは
引用・参考文献
■関連おすすめ図書
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森のセミナーシリーズ No.1
森と水―水を育む森、森を育む水
全林協編
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【定価1050円 本体1,000円】