本書は、森林と林業の再生に夢と希望をもって取り組む著者湯浅 勲氏の実践の記録です。
著者が参事として勤務する日吉(ひよし)町森林組合には、ここ数年、日本各地から視察や研修の依頼がひきもきらずに舞い込むようになりました。日吉町森林 組合が注目されているのは、「森林プラン」という施業の提案書を作成して、町内の間伐の遅れた山を取りまとめる手法によって、持続可能な森林整備を進めて きたことにあります。
「ところが訪れてくださった人たちは、それにも増して職員の一人ひとりがイキイキと自分たちの仕事に誇りを もって働いている様子に、一様に驚かれる」(本書より)のだといいます。同森林組合の先駆的な仕事は、職員一人ひとりの「人組みと心組み」があってこそ実 践されています。本書ではその経営術を公開しています。
「自分の心のどん底が納得していれば、誰に恥じることなく、堂々と自信と勇 気をもって行動できるのでパワーが生まれ、失敗することも少ない。これまでの50年あまりの人生経験からも、それは自信をもって言える。よしんば、結果的 にうまくいかなかったとしても、心のどん底が納得して行ったのだから、自分自身に納得もいくというものだ」(本書より)。
林業の様々な壁にチャレンジしてきた著者の共感できる痛快ストーリーをお楽しみください。
*FAX・郵送でもお受けしております。こちらのお申込書(Excel)もご活用下さい。
●共感できる痛快ストーリー
高校卒業後、エンジニアとして大企業に3年間勤め、その後、中小企業で技術屋として働く。昭和62年、35歳の時に地元の日吉町森林組合に転職。以来、「一人ひとりの職員がイキイキ」をモットーに職場改善を進めながら、職員みんなで「日吉の森復活作戦」を展開。「森林カルテ」、「森林プラン」などの明快な仕事のすすめかたで地域の森林所有者との信頼関係を深めている。座右の銘は、「心のどん底が納得しているかどうか、そこが大事」(相田みつを)、「三方良し」(売り手良し、買い手良し、世間良し)。
プロローグ
森林と林業の再生に夢と希望をもって/時代のニーズに向き合うことから
第一章 大正時代のままではいけない
「辞めるのなら代わりの人を探してからにしてくれ」/「大正時代」のままではいけない/自己改革がうまくいったもう一つの理由/「自分の心のどん底が納得しているかどうかそこが大事」
第二章 日吉の森復活作戦
出鼻をくじかれた作戦/当たり前のことを当たり前に/独自の施 業見積書/念には念を入れて/思わぬ収穫/見積書は写真と客観的なデータの二本立て/「森林カルテ」の誕生/「日吉の森林復活作戦」をワンランク進化/ 「森林プラン」は森林コンサルティング事業/信用のたまもの 森林管理受・委託契約/「緑の循環」認証会議 森林認証への取り組み/森林認証の取得がもた らしてくれたもの
第三章 常に学ぶ―提案型施業のポイント
常に学ぶ/団地化の要点/作業道の測量と林分調査/作業道への理解/試練を越えて/作業道の基本的考え方/高性能機械を使った間伐と材の搬出/まだまだ可能な生産性アップ/日吉町森林組合の間伐生産性/改善の余地は無限にある
第四章 やる気を引き出す人事システム
職場の体制/人を生かすことがすべての基本/公平な人事制度/給与の査定方法/賞与と期末一時金/給与評価基準概念/職員の手でつくった就業規則/すべての情報はオープンに
第五章 人材育成の考え方
最近の若い人に関して気づいたこと/全体会議の資料より
第六章 ドイツの旅から学んだこと
美しい国・ドイツ/合理的なドイツの林業管理と森林官/整備されたドイツの森林インフラと日本の方向/このまま日本に持って帰りたい/KBF―森林作業・林業機械研究開発機関/林業機械について・日本の方向性/望む機械
第七章 日本の森林は宝の山
ビッグビジネスチャンス/カギをにぎるのは森林組合/進まない森林組合の改革/スピードが要求される時代
あとがき