*FAX・郵送でもお受けしております。こちらのお申込書(Excel)もご活用下さい。
本書は、路網計画の考え方、計画の手順、注意点、事例研究などを著者の実践を元に紹介しています。
著者は作業道づくりの第一人者として、これまでに日本各地で路網を計画し、ルート選定を行ってきました。著者のルート選定の方法は、資料(地形図、森林基本図、空中写真など)を元に危険な箇所を探し出し、これを避けたゾーンを得心するまで山を歩き回って計画するやり方です。その現場経験から、山には作業道を通してはいけない場所、ルート選定で避けなければならない危険個所が数多くあることを学んできました。
本書は、著者の50年の実践から、山にひそむ「絶対に道を通してはいけない個所」、「危険個所」を計画時に見抜き、より安全なルートを選定するための秘訣をまとめました。
作業道を開設する前に、ぜひお読みいただきたい一冊です。
1928(昭和3)年、大阪府大阪市生まれ。大阪府指導林家。祖父の代に植林された千早赤阪村の山林を1949年に引き継ぐ。自ら木馬道をつくり、木馬を引き、その経験と観察をもとにして、約11年間をかけて1967年、所有林に「高密林内路網」(247m/ha )を完成させた。その路網と「生命力を重視した間伐法」によって、半世紀にわたり中間収穫を続けている。
著書に『大橋慶三郎 道づくりのすべて』『大橋慶三郎 林業人生を語る』『写真図解 作業道づくり』、林業改良普及双書№159『大橋慶三郎 道づくりと経営』(いずれも全国林業改良普及協会)などがある。
路網計画で注意したい危険なポイント
破砕帯
円弧
円弧(円形の地塊)
本書で説明する作業道
施工のポイント
伐開幅とその進め方
丸太組構造物
ヘアピンカーブ
1章 どんな作業道を目指すべきか
道はトータルバランスが重要
身の丈に合った道を
路網の規模
解説 路網密度のイメージ
解説 法面の凍結と溶解がこわい
切取法面
道とは何か
災害に強い道を
自然を、お手本に
解説 草木の葉がお手本
「道」とは
自然と、よりよくかかわる 温故知新
よく考えて
循環とバランス
山の道は、木を伐出するだけのものではない
全体的に見る
高密路網で林業を営んできた
コストダウン
基盤整備
基盤整備
用地の問題
解説 用地交渉
重要地点の確保
路網の費用は、開設費+維持費
林業機械の選択
解説 大橋山の基盤整備(タイトル)
急傾斜地の林内路網の概略
路網は仕事を簡単にするためのもの
路網をどのように付けていくのか
幹線を付ける尾根を見つける
解説 路網は経営の基礎施設
2章 路網計画の考え方
計画前のチェックポイント
計画する前に
路網計画―まず山を見る
まず山を見る
何に注意して見るか
路網配置と計画の順序
幹線計画の考え方
幹線とは
幹線の計画をまず行う
注意 尾根からも水が噴き出す
幹線計画のポイント
幹線は最も安定したところに
尾根にどう取り付くか、が最大の問題
川沿いの幹線計画の注意点
川沿いの道の注意点
大水が出たときに流される恐れのある高さ
土石流の跡
道の勾配
地形、地質によって急な道にならざるを得ない
道を開設できないところ
道を開設できないところには計画しない
解説 幹線を計画してはいけないところ
計画区域を見極める
計画区域の見極め
解説 山の見方
解説 自然の法則に従う
支線の路網計画
支線とは
支線計画は幹線工事の終了後
支線は治山工事でもある
3章 路網計画の手順と必要資料
路網計画の手順
路網計画の順序
路網計画に使う資料
必要な資料
資料の活用法
①国土地理院発行の1/25000の地形図(等高線間隔10m)と1/10000の地形図
②1/5000の森林基本図(等高線の間隔10m)
解説 空中写真からの情報
③空中写真
④GISの空中写真
⑤デジカメで撮った山の姿
4章 路網計画の注意点
路網計画の注意点1―斜面を大別する
斜面を分けて考える
路網計画の注意点2-地形図・空中写真から判読すべきこと
地形図・空中写真から判読すべきこと
解説 破砕地帯(断層破砕線、破砕帯)は怖い
解説 棚田
路網計画の注意点3―地形の骨格
地形の骨格
傾斜変換点
解説 傾斜変換線と路網
地質
路網計画の注意点4―タナ地形
土について
路網計画の注意点5―地形図の乱れ
地形図の「険・削・薄・曲・尖・乱」に注意
解説 等高線のいろいろ
路網計画で避けるべき場所
解説 破砕地は避けたい
路網計画で避けるべき場所1―円弧(円形の地塊)
円弧(円形の地塊)
路網計画で避けるべき場所2―破砕地帯
解説 谷密度と岩の種類
解説 尾根からも水が噴き出すので注意
路網計画で避けるべき場所3―急峻地
解説 急峻なところを避ける
路網計画で避けるべき場所4―崖錐・扇状地
崖錐(がけした)
扇状地
路網計画で避けるべき場所5―土壌中に異常に多くの水分が含まれているところ
空中写真で判読―色の濃い個所が水分が多い
解説 河岸段丘
路網計画で避けるべき場所6―堆積土のところ
堆積土での失敗が多い
路網計画で避けるべき場所7―転石地・岩石地
転石地
岩盤が地表に近いところにある場合
路網計画で避けるべき場所8―崩壊地および崩壊の多いところ
崩壊地
崩壊と地すベり
路網計画で通るべきポイント
ヘアピンカーブをとるのに適した場所
谷渡りに適したところ
5章 現地踏査と施工ルートの決定
現地踏査とは
現地踏査
現地踏査で山の状態を知る
現地踏査の注意点
現地踏査で探し出す3大ポイント
「タナ」を探す
ヘアピンカーブの適地を徹底的に探す
谷渡りの場所を探す
現地踏査の方法1―樹木観察から情報を得る
危険個所を確認する
樹木観察から得られる情報
現地踏査の方法2―地表観察から情報を得る
地表観察から得られる情報
解説 現地踏査の適任者
現地踏査の方法3―作業道施工時の切取法高を確認する
施工時の切取法高を確認する
解説 壊れにくい道をつくるには
切取法高を意識した現地踏査の方法
なぜ、「切取法高は1.4mまで」なのか
なぜ法面は直切り(路面に垂直に切る)なのか―法面の凍結と溶解に配慮
現地踏査の方法4―水分の分布状態を知る
水分の分布状態を見る
地形、地質から地下水を読み取る
山崩れが起こりやすい斜面
地すべりの起こりやすい斜面
集落は地下水分が豊富
湧水の状態
地すべりと棚田
川の水位を知る―谷沿いの道が流失しないために
解説 水の害を防ぐ
現地踏査の方法5―ヘアピンカーブ地点を決める
ヘアピンカーブの位置
ヘアピンカーブの取り方
ヘアピンカーブのルート選定の注意点
解説 ヘアピンカーブの改良型
解説 施工後のヘアピンカーブの修正
現地踏査の方法6―排水のための路線の修正
排水のための路線の修正
6章 路網計画とルート選定の事例研究
幹線ルートの選定
ルートのパターン
ルートを開設できるかの目安 尾根の勾配で確認する
尾根勾配からの判断基準
事例研究1 計画地が円弧の中にある山林
基本資料
危険個所を読み解く
事例研究2 破砕帯が横切っている山林
基本資料
写真から読み解く
危険個所を読み解く
ルート選定
解説 曲がっている尾根でのルート選定
事例研究3 路網計画が難しい山林1
基本資料
危険個所を読み解く
ルート選定
事例研究4 路網計画が難しい山林2
基本資料
危険個所を読み解く
事例研究5 谷から上るルート例
基本資料
ルート選定
稜線林道
堆積土の注意点
●大橋慶三郎の本
大橋慶三郎 道づくりのすべて
ISBN978-4-88138-091-8
A4変型判 160頁(上製本)
定価:4,725円(本体4,500円)
写真図解 作業道づくり
大橋慶三郎・岡橋清元 共著
ISBN978-4-88138-190-8
B5判 108頁 カラー・一部モノクロ
定価:2,625円(本体2,500円)
大橋慶三郎 林業人生を語る
ISBN978-4-88138-236-3
A5判 232頁 (ハードカバー)
定価:2,310円(本体2,200円)
林業改良普及双書№159
大橋慶三郎 道づくりと経営
ISBN978-4-88138-197-7
新書判
定価:1,155円(本体1,100円)