【お詫びと訂正】
「林業改良普及双書No.197 針広混交林を目指す 市町村森林経営管理の施業」
に表記の誤りがありました。
以下の通り訂正いたしますとともに、読者の皆様に深くお詫び申し上げます。
p.80
「林分の目標林型」の節の1行目
誤:林分の目標林渓は、
正:林分の目標林型は、
p.1022行目から3行目
誤:雑草が繁茂することがありましが、
正:雑草が繁茂することがありますが、
p.123 注釈19の3行目
誤:3000/haとなる。
正:3000本/haとなる。
2019年4月に森林経営管理法が施行され、森林経営管理制度がスタートしました。制度では、森林所有者自らが森林の経営管理を実行できない場合に、市町村が森林の経営管理の委託を受け、林業経営に適した森林は林業経営者に再委託し、再委託できず林業経営に適さない森林については、市町村が経営管理を図る仕組みになっています。
林業経営に適さない森林(人工林)の経営管理として、広葉樹を混交させて針広混交林へと誘導する管理、いわゆる「広葉樹林化」が選択肢のひとつになりますが、その方法は通常の針葉樹人工林の施業とは異なることから、十分な情報が得られないのが実情です。広葉樹林化は、決して容易な施業法ではありません。本書では、森林生態学を専門とする著者が、広葉樹林化について科学的な知見に基づいてわかりやすく説明します。
2021年2月5日発行
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さとう・たもつ
栃木県生まれ。
国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所森林植生研究領域長。
博士(農学)
1990年宇都宮大学農学部林学科を卒業後、森林総合研究所に入所。同研究所九州支所、環境省地球環境局研究調査室室長補佐、森林総合研究所森林植生研究領域植生管理研究室長、同領域群落動態研究室長を経て、2017年より現職。
専門は森林生態学。研究テーマは、照葉樹林の撹乱後の森林動態、熱帯林の炭素動態、熱帯林での炭素蓄積量推定手法の開発など。
1章 森づくりから見た新たな森林経営管理制度
日本の森林は豊かなのか?
日本の森林・林業の現状
森林の適正な整備に向けて 今、私たちに求められていること
森林経営管理制度による森づくり
本書で扱う内容
2章 森づくりを考えるための基礎知識
森づくりとは何か?
人と森林の結びつき
人が森林を持続的に利用する意味 森林の動態と構造
森林の区分
林分の構造は時間とともに変化する
林分の発達段階
林分初期段階(幼齢段階)
若齢段階
成熟段階
老齢段階
森林の多面的機能と生態系サービス
機能とサービスの持つ意味
森林の多面的機能は林分の発達とともに変化する
各機能の説明
生物多様性保全機能
水源涵養機能
表層土壌有機物量
森林生態系の炭素量
純生産量
森林経営・森林施業の基本原則
① 合自然性の原則
② 保続性の原則
③ 経済性の原則
④ 生物多様性保全の原則 生物多様性の保全はなぜ重要なのか?
一般には知られていない生物多様性?
持続可能な森林管理のために欠かせないもの
あらためて生物多様性とは何か?
種レベルの遺伝子撹乱を避けるべき
生物多様性に関わる4つの危機
生物多様性をめぐる国際的な情勢
人の影響の排除が保全のための最上の策とは限らない
3章 目標林型を考える
目標林型はなぜ重要なのか?
「目標林型」は森づくりのためのキーワード
目標林型を考えるための3つの視点
2つの異なるスケールで組み上げる目標設定 配置の目標林型(ゾーニング)
流域レベルでの目標設定
どのように森林を配置するのか
林分の目標林型
林分の目標林型
2つの目標林型を考える必要
4章 針葉樹人工林の広葉樹林化 基本となる考え方
広葉樹林化とは何か?
広葉樹林化の目標林型―木材生産か環境保全か
代替え案を用意する意味
不成績造林地にみる混交林化の仕組み
100年を超える目標設定が必要
間伐が広葉樹侵入のチャンス 天然更新の仕組み
天然更新の種類
作業の流れ
広葉樹稚樹の3つの発生経路
前生稚樹がなぜ重要か?
埋土種子に過剰な期待をしない
距離に制限のある散布種子
どのような要因が効いてくるのか?
植栽樹種で異なる広葉樹の侵入具合
伐採幅が広すぎるとだめ
間伐の強さはいかに? 新の成否をどう判断するか?
更新完了基準という考え
変遷する基準
更新完了基準を検証してみたら
継続観察で見えてきたこと
厳しくあるべき更新完了基準
天然更新を促進するために
更新補助のあり方
更新阻害要因を排除する ササの場合
更新阻害要因を排除する シカ害の場合
前生稚樹がない場合
GISを用いた散布距離と土地履歴による適地判定
再考 広葉樹林化施業