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各地で長伐期化が進んでいる。長伐期施業の森づくりは林業関係者の究極の森づくりではあるが、適正な伐期齢や施業方法、長伐期材の特徴・価格など不確定な要素が数多くある。本書はそれらの問いに応えようとするもので、これからの森づくりにとって貴重な1冊だ。
A長伐期施業を考える-藤森隆郎(日本森林技術協会)、遠藤日雄(鹿児島大学)、B長伐期施業の森づくりを検証-森林総研、北海道、秋田・山形・岐阜・鹿児島県の研究機関、C長伐期施業検討会の活動-徳島県。
まえがき
Ⅰ編 長伐期施業を考える
1章 長伐期施業の意義と課題〔藤森隆郎〕
日本の森林の特色/日本の林業の経緯/森林に対する社会的ニーズ/日本のあるべき林業像/長伐期施業の生態的意義/長伐期施業の経済的意義/長伐期施業の技術的課題/成長と材質/おわりに
2章 経営面からみた長伐期施業の可能性〔遠藤日雄〕
人工林を対象とした伐期論/長伐期施業が登場した背景/早生樹植林による短伐期林業への移行/短伐期林業を加速する中国の存在/短伐期施業も選択肢に/伐期の地域性/丸太価格形成の違い/短伐期を促す背景/長伐期に適合する秋田のスギ/全国一律の長伐期施業は疑問/まとめ
Ⅱ編 長伐期林の成長と管理技術-国補大型プロジェクト「長期育成循環施業に対応する森林管理技術の開発」から-
1章 国補大型プロジェクトを総括する〔石塚森吉〕
プロジェクトの研究実施担当機関と全体計画/プロジェクトの成果の概要(①高齢林の環境保全機能、立地特性、成長阻害要因の評価、②高齢林の成長の実態と高齢林に対応した収穫予想システムの開発、③大径材の価格、④問題点と今後の課題)/おわりに-収穫表の修正と二酸化炭素吸収量の算定
2章 北海道におけるカラマツ人工林の長伐期に向けた現状と課題〔石渡辺一郎・梅木清〕
長伐期施業に対応した資源量予測システムの開発/気象害/環境保全機能の評価/おわりに
3章 秋田スギの成長特性と長伐期施業〔澤田智志〕
森林の高齢化と土壌肥沃度/気象害と立地特性/スギ人工林の高齢級での樹高成長特性/高齢級での本数密度管理/高齢木個体の成長量/材積が20‰を超える天然スギの成長解析/高齢級丸太に付加価値が付く樹齢はいつ?
4章 山形県におけるスギ長伐期施業林実態からの考察〔小野瀬浩司〕
林齢80年を超えてもスギは成長するか?/すべての立木が高付加価値材か?/長伐期施業林の収穫予測/長伐期施業導入の可否/長伐期施業林の公益的機能
5章 岐阜県・ヒノキの成長解析とシステム収穫表の調整〔茂木清和・横井秀一・渡邉仁志・大洞智宏〕
ヒノキ林の林分状況/ヒノキの成長経過/「シルブの森岐阜県東濃ヒノキ版」の作成/「シルブの森岐阜県東濃ヒノキ版」の使い方
6章 鹿児島県のスギ人工林の成長と新管理基準の作成〔長濱孝行〕
スギ人工林の現況と「長伐期化」/これまでの基準、これからの基準・・・/固定試験地での生長量測定/成長阻害要因に考えられる気象害/新基準の作成
Ⅲ編 長伐期材を総合的に分析する-「徳島すぎ長伐期検討委員会」の中間報告から-〔網田克明、市瀬雅志〕
なぜ「徳島すぎ長伐期検討委員会」を組織したか?/徳島県の森林林業の状況/徳島県の森林資源/長伐期施業に向けた森林整備/長伐期林の現地調査/長伐期材の成長曲線/長伐期材の細胞観察/成分抽出試験/資源シミュレーション/長伐期化に伴う林業経営のシミュレーション/さいごに