組織人として
極めて個人的かつ稚拙なことですが...。
県の要職経験がある方と飲んでいたときのことです。組織論が大詰めを迎えたあたりで「今の形(つまり、ひとり親方)で仕事をしてみて、ようやく自分は組織に向かない人間なんだと納得した」と言う意味のことを申し上げました。すると、その方の目がキラリと光り、「杉山さん、それは違う。あなたはあなたで地域という組織で働いているということを感じたことはないのか」と言われたのです。
たいへん穏やかに、優しく、それは叱咤ではない、語りかけではありましたが、間違いなく"お叱り"の言葉でした。そういう叱り方が完成されているのも、長年の経験ならでは、などと感心したのは何日も後のことで、まずはその言葉に「ハッ」としたのでした。
私はいつの間にか、自営で食ってゆくということを、独力で生きてゆくことと勘違いしていたようです。どうしてこんな失敗をしてしまったのかは、まだ問いつめている最中ですが、とにかく正さなければいけない。今はこの間違いが、取り返しのつかないところまで影響していないことを祈るばかりです。
そして、この歳になっても、親身に叱ってくれる人が居ることのありがたさ。得がたいことです。
相手の方が現役の頃は、まったくご挨拶程度の会話しかしたことがなかったのに、まるで長い間見ていてくれたような気がして、人の温かさのようなものを強く感じたのでした。
一人で作業をしているということに、劣等感のようなものを感じていましたが、このこと以来それはずい分薄れました。
地域という名の組織。その一員という視点を忘れることなく働く。それを仕事の基礎におきながら、現場へ通い続けたいと思います。