オーガナイズ
20代の頃、住み込みでバイトしていたところの先輩に教えられました、「日本社会では軽視されているようだけれど、オーガナイザーが重要や」と。まさか50になって、林業機械の研修現場でこの言葉を思い出すとは...。先輩はすごい!
佐久地域高能率間伐材搬出システム開発グループについては以前も紹介しましたが、今日は偶然その研修現場に同行することができました。
なかなか機械化の進まない林業界に、いかに機械によるシステムを普及させて、低コスト化を進めるかということを課題ととらえている流れがあります。当地でもようやくその検証と学習がはじまったわけですが、導入すれば生産性が上がるとわかっている機械でも、一台一台が高額なため、個々の事業体は導入することには慎重になります。
問題は、一定の丸太を森の状態で常に確保し、安定的に世に送り出すことができるかどうかなのですが、ここでも行政は精一杯のところまでやっていて、あとは本人たちのやる気次第というところまできていることに、今日気づきました。
地域の同業者が納得できる仕事量の実績なのか、世の動静を見抜き敏捷に動くことができる能力なのか、あるいは私などには想像もつかない何かなのか。それを持つ誰かが言い出しっぺ、つまりオーガナイザーになって、この地域の山から出る丸太を統括するようになれば、それは必ずモノになるのです。
こうしたグループ作りがうまくいったとしても、木を世に利用させる仕組みを創造しないかぎり、木材はハウスメーカーや問屋などの、買い手側が求める契約規模と内容に支配されながら、山を思う者にとっては不条理な扱いを受け続けます。でも、高性能機械と呼ばれている以下の機械たちが活躍することは楽しみなことです。
ハーベスター:自分で立木をつかみ、伐り倒し、丸太にします
グラップルバックホー(ウィンチつき):倒れた木や、丸太を引っ張ったり、積み上げたりします
下のふたつは、今日見ていて一番そそられた場面です。
バックホーのアームにつけたグラップルを、道作りなどに使用するバケットへ、ひとりでもかなり早く交換することができます。カタログをもらってしまいました。
コメント
Posted by: 森川 政治 [ 2010年1月19日 23:15 ]
杉山 要様
住友建機販売の森川と申します。本日この現場で名刺交換させていただきありがとうございました。
いただいたご名刺のURLを早速拝見させていただきメールをしている次第です。「信州そまびとクラブ」のお名前は予てより伺っており一度お邪魔したいと思っておりました。私は林業は全くの素人ですが、高性能林業機とは言え機械さえ導入すれば効率が上がるとの誤解を解き、メーカーとして機械を販売するだけでなくどうすれば効率化になるか、また皆様方や現場で色々教えていただきながらより良い林業機械にしていこうと思っております。これを機会に色々教えていただきたく、よろしくお願いいたします。会社でのネット使用は制限があるので個人のアドレスから失礼いたしました。
Posted by: かなめ [ 2010年1月20日 06:44 ]
森川政治様
コメントをありがとうございます。また、研修現場ではいろいろと教えて
いただき、たいへんお世話になりました。
機械さえ導入すれば効率化になるか、というところは、何か林業界の
外の方から指摘されてとても痛いところのように思います。恐らく強く
感じておいでかと思いますが、効率化の根っこは人の問題であり、それに
伴って、事業体によっては組織のあり方が大きなポイントになっている
場合が少なくないのです。
良い指導者と組織があり、そこに鬼に金棒の機械が入って、すばらしい
成果をあげている事業体があります。森川様のおっしゃるソフト面の充実は
今後もっと注目されてゆくことでしょう。こちらこそ、これからもご指導くださる
よう、よろしくお願いいたします。
Posted by: somakudo [ 2010年1月20日 06:57 ]
昨日の夕方に、南に向かってパルプ材を運材していると、
反対車線を「プロセッサ?」を積んだトラックとすれ違い、
わき見運転で自走の車線をすこしはみだしてしまいました。(笑)
ハーベスタだったんですね。
住友さんのは尺取虫なので見てすぐにわかりますよね。
投稿最後の小松さんのグラップル。
やっぱりアタッチメント交換のしやすさに魅力を感じますよね。
私も「こっち」でそのマシンを見たときにはそこに一番感心しました。
だって、今一番大変に感じている部分ですから。
先日、うちのPC28UU(ユーユちゃんと呼びます)が
作動油のお漏らしをしてしまい、
仕事をしてくれるようにするのに、ほぼ丸一日を費やし、
大量のオイル(作動油)を飲み込んでくれました。
来月のカード引きおとしが恐ろしいです。
人間は給料を待ってもらうことはできますが、
機械の支払や修理は待ってくれません。結構つらい時もありますね。
欲しくて欲しくて手に入れたのに、持ったがゆえの辛さも付いてきます。
上手にお付き合いしたいですね。機械達と。
Posted by: かなめ [ 2010年1月20日 17:52 ]
somakudoさん
南へパルプと言うと、Sさんのところですね。
このハーベスター、研修用にYさんからオペレーターさんごとお借りした
のだそうで、さすがに現場で乗り慣れている人が操ると、細かな取り回し
やレイアウトのことが、実に勉強になります。
尺取虫かローラーかの議論があるところですが、確実な検尺をしやすい
という点で、何度も行ったり来たりの再測が発生する場合のあるローラー
式よりも、尺取の方が総合的な能率で勝るように思います。もしかすると
このあたりの議論、どこかのページでオペさんたちが語っているのでは
ないでしょうか。そんなサイトがあると良いですね。
作動油のお漏らし、くれぐれも焼けどに注意してくださいね。それから
これは釈迦に説法ですが、モンキーだけでなく、定尺の配管系のレンチ
常備はお約束ですぞ。そして配管の予備も積んでおきたいところです。
人間なら、痛がっていても無理に働かせればナカラの仕事はしますが、
機械はそうは行きません(冗談です)。私のように几帳面な点検のできない
人間が言っても、ぜんせん説得力がありませんが、それなりの付き合い
方が大切ですね。
Posted by: りんむのみっチャン [ 2010年1月21日 09:29 ]
開発Gをスタートした時、大変失礼なことを事業体の皆さんに言いました。皆さんは、井の中の蛙だと・・・トラクタ集材もすばらしいけど、世の中は、すごい勢いで変革しようとしていますよ。(yes!we can!!)
佐久の開発Gの取組みは、県下でも初めてです。16事業体が集まってくれて、スタートしました。
今年は、各地の先進事例を視察し、メーカーに協力をいただいての各種高性能機械の現地研修や研究会等を実施してきました。事業体の皆さんは、自分の現場を抱えながら、本当に忙しかったと思います。
私が思う今年1年の一番の成果は、こうした取組みの中で、会員同士の助け合いやら情報交換等が行われるようになったことです。開発Gは、個々の力を伸ばすことも重要ですが、チームとして大きな力持ちたいと思っています。
それは、次の課題(挑戦)です。高能率システムを生かすためには、大きな面積をもった事業地の確保が必要で、団地化していかなければならないからです。(しかし、零細所有者のとりまとめは、チョー大変です。(汗))また、高能率な搬出により大量に出てくる木材をどう売りさばくか?しかも価格を高値安定でおこないたいです。川下対策も万全でなければなりません。この課題を乗り越えるためには、チームでないと無理かなあ~?最後は、オール佐久です。理想ですが・・
佐久の地域に適合した高能率搬出システムが開発され、団地化や川下対策も解決してつながったら、森林所有者も事業体も木材を扱う川下の人たちも、みんなが幸せになり、健全な森林が未来永劫続けることができます・・・そうなったらいいなあ~と思います。
まだまだ、頑張りますよ!!
Posted by: 尺取虫 [ 2010年1月21日 23:11 ]
かなめ様
somakudo様
ストローク(尺取虫)式かローラー式か議論の分かれるところですが、手前味噌で申し上げればストロークは測尺が正確・枝払いが確実で一押しは上げ造材です。ストロークの力(0.45ベースで約6tの推進力)で作業道下から材を引っ張り上げながらの枝払いと造材はローラーでは困難であり魅力です。ただストローク式が満点かというと残念ながらデメリットもあり、まだまだどちらも進化すべきだと思います。
りんむのみっチャン様
(おそらく私の存じ上げている方だと思うのですが)
縁あって開発Gに参加させて頂き非常に感謝しています。恥ずかしい話ですが、参加させて頂くまでは「高性能林業機さえ導入すれば、人手による作業に代わり安全かつ効率化できる」と思っていました。開発Gでいろんなことを勉強する中で、皆様の仰るように人・組織・機械・流通・消費といろんなことをコーディネートしていかないと効率化が図れないことを知り、まさに井の中の蛙でした。私のような立場の者がどう係われるかは混乱していて今だ答えは出ません。
ストレスが溜まると山へ出かけます。山によって空気が違いますが、静かに息をしていると風の音、枝の擦れる音、いつの間にか自然と同化したような気がしてストレス発散になります。単純に山が好きだから素人なりに夢は林業の活性化です。よろしくお願いします。
森川改め尺取虫でした。
Posted by: かなめ [ 2010年1月22日 17:35 ]
りんむのみっちゃん様
研修ではたいへんお世話になりました。午前中で失礼しようと思いましたが、
その旨申し上げたところ「えーっ」という表情をしてくださったことに、感謝
しております。
仕事とは、目の前のアンパンにのみ集中するパン食い競争ではないのですよね。
危うく、それを忘れるところでした。
今回の研修。拝見した内容もさることながら、参加された皆さんとの会話も
いろいろと余韻の残る意義深いものでした。日頃から個々に顔を合わせている
人であっても、あの研修の場では「何かが違う」と感じました。その「違い」
の原点は何なのかを考えてみたところ、この1年間に育まれてきた、開発Gと
しての皆さんの連帯感の現われなのだろうと思い当たりました。
この16事業体が核となり、流域全体を巻き込んでゆくことを夢見ています。
もちろん私もできる限りのことをやらせていただきます。皆さんのような一国
一城の主でもなく、地域の素材流通に何の実績もない身ですが、思いだけは
負けていないかもしれません。機会があれば、いつでも顔を思い出してください。
Posted by: かなめ [ 2010年1月22日 18:24 ]
尺取虫様
本名から幼虫への脱皮をしての書き込み、ありがとうございます。
「上げ造材」が一押しである点、何も気づかなかったことにかなりの恥ずかしさを
感じております。プロセッサの作業経験しか無いのが痛いところです。
重複しますが、最新号の「現代林業」にも特集で取り上げられているとおり、
業界は「人」をどのように育ててゆくのか、これがシステム化の最大のテーマで
あると、かなりの方が自覚し、行動し始めています。
事業体経営者、集約化担当者(言わば営業ですかね)、オペ、これらがまかせっ
きりで、それぞれ好き勝手な方向をむいて、ただサラリーをもらうのではなく、
楽しみつつひとつのテーマを共有し、ガンガン木を出してお金にしてゆく。そして
今回の研修現場で拝見した若いオペのような方が、普通にどこの現場にも居て、
ネットワークを持つようになるとき(かつ、「地域」を語るようになると嬉しいの
ですが)、何かとても幸せなことが起こるような気がしてなりません。
林業機械はそれだけでは「機械」かもしれませんが、不思議なことに操る人たち
には自ずと職人意識のようなものが宿ります。ひょっとすると、これが一次産業を
疎かにしてきた自分たちの営みの問題解決のひとつになるのではないか…。
オペさんたちとの接点である尺取虫さんには、オペのネットワーク構築のお願いを
したい、などという妄想に突入してしまいました。
Posted by: りんむのみっチャン [ 2010年1月25日 10:26 ]
お世話様です。先週の金曜日にお休みをいただき、金土日と炭焼きをやってきました。(白炭を焼き始めて、7年目・・・けっこう、硬い炭が焼けるようになりました。)
井の中の蛙は、実は、自分のことも含めてでして、事業体の皆さんやメーカーの皆さんと、こんなに深くお付き合いした1年間は、約30年になる私の仕事の中でも初めてで、忙しくもあり、ちょっと苦しくもあり、でも新たな発見や出会いも多々あり、楽しい1年間でした。
人を育てることは、本当に大切ですね。行政にいると、膨大な情報が入ります。その情報をより分け、噛み砕き、佐久の地域に役立てられればいいなあと思っています。
私の仕事の中には、人材育成が掲げられていますが、一緒に行動し、そして自分も育ててもらう・・・そんな関係が良いと思っています。
それでは、これからもよろしくお願いします。
Posted by: かなめ [ 2010年1月26日 18:16 ]
りんむのみっちゃん様
白炭7年目とはすばらしい。そこまでの腕前とは存じませんでした。もう
料亭相手に商売できそうですね。
ちょっと苦しい1年、たいへんお疲れ様です。今年は何か起こりそうな予感
がしますね。佐久地域のカラマツに新たな光のあたる瞬間に、ぜひとも
居合わせることができるよう、励みます。