いつまでたっても...
一時間ほどですが、今朝は久しぶりに大勢が働く現場に合流させてもらいました。しかも材木出しの現場です。
いいですね、仲間のいる仕事は。本当に楽しい。倒れている木が、たちまち丸太になっていきます。
実はこの木は、昨年末に私が倒したものです。自力では材木にできないので、村で活躍する先輩の事業体にお願いして出してもらうことになりました。そしてそこには、ただチェンソーを持たされて山に放り込まれた私を、靴の履き方から重機の操作まで、すべて教育してくれた師匠が働いています。昨年、長く勤めた森林組合を病気でリタイアした師匠ですが、奇跡の復活をとげて現場に戻ってきました。
「おはようございます」と言うと、「これは誰が倒しただ?」と師匠の目がギラリ。私は「はい」と手をあげて、すかさず「出しにくくてすみません」と申し上げました。どんな気合が入るのかと半ば楽しみにしていた私に、「フッフッフッ、上手に倒したじゃねーか」との想像しなかった評価をいただき、天にものぼる気持ちでいると、たちまち「お~い 杉山!」と、また別の先輩から声がかかりました。
「(材木の)いちばん良いところを、こんなにして。師匠はこんなこと教えなかったらい」。
そこには、私が伐倒を失敗したキハダが引き出されていました。師匠も一言、「俺はこんなことは教えなかったな」
たしかにその通りなのです。こういう状態にしないためのノウハウはたくさん教えてもらったのに...。今のようなわずかな経験で、文句の無い仕事ができるなどとは思っていませんが、それにしても進歩がなさ過ぎる。いつまでたってもザマ(=ぶざま)な山師の、嬉しい朝の一仕事でした。
いちばん美味しいところが裂けてダメになってしまったキハダを玉切る師匠。教えを守らぬ(あくまで自称)弟子に、何を思いながらチェンソーをあてているのだろうか。
コメント
Posted by: アカホリ [ 2009年4月21日 09:14 ]
かなめさんの嬉しさ、よくわかります。私がこの仕事に就くきっかけをつくってくれ、取材の仕方や記事の書き方を教えてくれた人は3年ほど前に亡くなってしまいました。いろいろ評判のあった人ですが、この記事を読んで、今更ながら、その人が私にとっての大切な師匠だったと思っているところです。ほめてくれたり、怒ってくれたりする師匠がいる、かなめさんがうらやましいです。
Posted by: かなめ [ 2009年4月22日 06:52 ]
アカホリさま
この嬉しさを理解してくださりありがとうございます。
そうですが、アカホリさんにも良い師匠がいたのですね。この写真の師匠
たかにぃは、来村の際に紹介させていただきましったっけ?以前たかにぃが
病に倒れたとき、私はそれを知らずにいて、あまりにも自分が地域から離れて
行動していることに気づきました。
同じ班ではありませんが、今また、同じ山で働くことができて、本当に嬉し
かったです。
Posted by: アカホリ [ 2009年4月22日 13:31 ]
「たかにぃ」さんが倒れられたことは前にうかがいました。あのときにご一緒した山田さんも、たいへん心配なさってました。お元気になられたのですね。よかったです。
Posted by: かなめ [ 2009年4月23日 05:26 ]
自宅療養中のたかにぃにお会いした際、以前のような勢いが
失われているような気がして、どうしようもない虚無感を覚えたの
ですが、現場復帰してくれてありがたかったです。 なにせ、
いつも働いているイメージの方なので。
しかも今回現場で行き会ったときには、鋭い眼光に、こちらが
感じる独特の緊張感も昔のようになりました。感謝です。