グリーンワーカー
新規参入技能者(グリーンワーカー)養成研修というのをご存知でしょうか。(財)長野県林業労働財団が開催するこの研修のお手伝いをしてきました。
ここ数ヶ月、世間の景気悪化に伴って林業界、しかも山仕事の現場作業へ就労を考える方が増えており、この研修は主にそうした人を対象に林業の入り口として準備された研修のようです。
自分自身、秒単位、一銭単位で工程管理をする製造業に絶望にも等しい違和感を感じてこの世界に入ったので、今の世間の流れは痛いほどわかります。ある意味では、十四年だけ先回りしていた私が、新たに山に入ろうとする人たちを中心に恩返しをするチャンスなのかもしれません。
グチに聞こえるかもしれませんが、未だに「からだが丈夫でさえあれば山仕事は勤まる」という考え方が世間だけでなく、業界の通奏低音としてまでも流れているような気がします。意欲を持った人が山に入ることは大歓迎ですし、ひとりでも多くの仲間が増えることが希望ですが「丈夫なだけでは乗り切れない何かがあるのではないかな」というのが今の私の正直な感覚です。
でも思い起こしてみると、はじめて山に入った頃と比べると、このやり場のない不満と言うか、モヤモヤしたものがずい分と薄れて、とにかくケガだけはしないように、せっかく山に来てくれたのだから一日も早く、ひとりでも多く稼ぐことのできる山師(山衆)になってもらいたい、という望みが占める割合が大きくなっていることに、今回は気づきました。
研修に参加した人たちが業界に来てくれたとき「就労先の人たちの働き手に対する考え方が様々である」ということ、そして「それを乗り越え、新たな価値観を創造するところに、実はこの業界のおもしろみがある」とういことを、できれば落ち着いた時間の中でお話させてもらいたかったと、帰りの車の中で考えました。
コメント
Posted by: つうくん [ 2009年3月 9日 07:27 ]
かなめさん
お気持ち、とてもよくわかります。
人生を変えようと来たそれぞれ思いのある方が、挫折して辞めていくことを少しでも減らせるよう努力したいです。
Posted by: かなめ [ 2009年3月10日 09:22 ]
つうくん様
コメントをありがとうございます。
決して言葉では聞きませんでしたが、この仕事に就いてから
「好きで入ってきたのだから、いろいろと贅沢を言わずに働け。
これがしきたりなんだから、いやならいつでも山をおりろ」という
雰囲気を長いあいだ感じていました。
そんな自分勝手な思いからすると、そこにもしも昨今の不況と
就労難が「勤め先が有るだけまし」というようなムードをつけ加えたら、
施業技術や作業者の地位向上にはむしろマイナスに働くのではないか。
つい、後ろ向きに考えてしまいます。
せめて、挫折して辞めてゆく人のデータ集めの大切さに、関連
する団体が気づいてくれるとありがたいのですが。