道のありがたさ
台風で水が集中し、1m以上の深さにえぐれてしまった林道
そもそも私が林業に興味を持ち始めたのは環境問題からでした。それは、森の手入れをする人が減ることが、そのまま森の自然度を悪くするのではないか、という何をもって悪いと捉えるのかも考えない漠然としたものです。そして「自然を破壊する林道=悪」というイメージも強く持っていました(要するに自然と人間の関わり方をじっくり考えたことが無かったのです)。
ところが、山仕事に就いてみると道のあることがどれほど尊いかということがわかってきます。ですから今では、前出の私の頭の中の等式は「山を壊す林道=建設担当者の思慮不足=悪」と書き直されています。私自身、まだ何も勉強していないので偉そうなことは書けないのですが、乏しい知識によれば、山とのお付き合いは水とのお付き合いであり、水の流れをどうコントロールするかというより、水にどこを通ってもらうかぐらいの謙虚さで付き合わないと良い道は入れられないように思います。
ご覧のとおり、大金をかけて作った立派な道も、一回の台風でズタズタになってしまいます。この道が無事でさえあったら、私たちの通勤時間もどれだけ短縮されたことでしょう。大型の機械と大型のトラックで大量生産的に材木を供給する…。高規格の道を入れることはひとつの結論ではあるのでしょうが、仕組みづくりのためには、検証しなければならないことがまだたくさん残されています。