森林税3
それでは、実際に森林税によってどのように間伐を進めるのか。前回にも述べたとおり、地域にある木材を「持続可能な社会を実現するために欠かせない自給可能な資源と捉える」ということを前提として、続けたいと思います。
山の木が高く売れなくなってしまい森林所有者の育林への意欲がなくなった、ということが人工林の手入れが遅れてしまっていることの理由としてよくあげられますが、私は、森林所有者一軒あたりの所有する森林面積が少なく、もともと所有者一軒一軒では林業としての経営が成り立たない、ということも原因のひとつなのではないかと考えます。
この問題を解決するために、森林組合などのコーディネーターとも呼べる主体が、小規模の山をまとめて団地化し、木を切り出しても赤字にならないように工夫しなければならないのですが、現場で実際に働いてみると、このまとめる作業に大きな手間のかかることがわかります。でも小さな森林の所有形態は動かしがたいことですから、単に間伐作業の手間賃だけではなく、小さな森林の所有者を特定し、境界を確認し、手入れのOKを取り付ける手間賃にこの森林税を利用することが、これから先の資源管理という点でも重要な役割を果たすことになるはずです。
ただ、こうした税金を利用した補助制度は、不公平の生じない活用という宿命からとかく
最大公約数的な機能しか持たなくなってしまいがちです。せっかく「県」というローカルな単位で集めるお金ですから、県内の各地域、大げさに言ってしまえば沢ごとに異なる事情にあわせて、柔軟に活用できる仕組みを、現場の人たちもいっしょになってつくりあげるようにすることが、無駄の無い税の使い道に結びつくと考えます。