被害額は4億円
昨日のローカル紙に、県林務部が発表した9月の台風9号による東信六市町民有林の風倒木の被害額のことが小さく掲載されました。被害面積238ha、総額約4億2千万円。被害材積の推計5万9千立方m!
まず興味があったのは、この記事に関心をもった人がどのぐらいいたのかな?ということ。社会面の片隅にひっそりと載せられたという扱われ方に、これだけ森林面積の占める割合の高い県でありながら、かろうじて経済観念の中に残されているという現代の林業の位置が感じられ、それでさえ世間のことを広く伝えるという新聞記者の目だからこそ、拾われた話題であると考えると、これではいけないと思いつつも暗くなる心…。
次に思い浮かんだことは、この試算を吟味してみようということ。被害額を単純に面積と材積で割ると、ヘクタールあたり176万円。立法あたり7千円と計算される。
林業では通常、山に倒れている木のすべての部分が材木として出てくると見積もることは少なくて、歩留まりを考えて利用率というのをかけ合わせる。たとえばこれを0.6として、その逆数1.6を7千円にかけてみると立法あたり11200円。
7千円も11200円も、決してウハウハと儲かったり、山の所有者に還元できる額ではないので、結構現実的な数字だなと思いつつ、この記事を見てこんな検算をしているのはさらに何人ぐらいいるのかな、と再び孤独感にさいなまれる。
最後にお金のことで思い当たったのは、この風倒被害の後片付けに動員された同業者たちの売り上げ。被害額や、その後の山の経済価値の悪化の金額よりも、片付けの売り上げの方が高額になるような気がして、またまた暗くなるのでした。 こんな己に 喝っ!