林業新知識取材の続報
4月29日にお知らせした林業新知識の藤森隆郎が訪ねる新たな森林管理の現場のための取材の第一日目の様子をお伝えします。
この日(4月27日)は、川上村の千曲川源流への登山口のすぐ東側にあるカラマツ林での間伐作業の取材です。はるばる東京からみえた先生と編集担当の方、そしてこの取材情報を聞きつけて、見学したいと連絡してきた松本の同業者の方を山へ案内しました。
現場に到着すると即座に、先生から施業の仕様についての鋭い質問と、無駄の無い指摘が連射されます。そうしたやりとりの中で、この時の話題の中心になったことは、作業現場からの声を発注者に伝えることの重要性でした。
自分たちが森林組合に勤めていた(「雇われていた」という言葉がより適正な響きをもちます)頃と、現在のそまびとクラブ専従職員として公共事業の現場を直接発注者と対話しながら施業してゆくうえでの意識の大きな違いについてお話しすると、私たちが考えている程度では、まだまだ現場からの声出しが足りないと気づかされるメッセージを先生からいただきました。おそらくこの声出し自体、日本の林業現場で働く多くの人が感じずにいるのが公共事業の実情ではないかと思いますが、そんな世界にあって、藤森先生からうかがったことは、本当に現場の者に張り合いになる言葉でした。
次なるお題は、私がたぶん業界内で突出して主張しているだけなのかもしれないと最近妙に孤独感を感じている「生物多様性(正式には生物学的多様性)に配慮した森林施業について」でした。とても基本的なことについてのやりとりではあったけれども、思い起こすと結局その基本的なところを私がわからずにあれこれ言っていたことに対して、先生は順序だててきちんと説明してくださいました。とどのつまり「わかったような気になっていた自分」に気づき、一月前の会話を思い出しながら、今また唖然としているところです。
実はこの取材、7、8月号の記事になること意外にも、夜の旅館での長~い物語があるのです。そちらは日中の現場での取材の50倍ぐらいエキサイティングなものだったのですが、それが世に出る機会のあることを願っています。
林業新知識に掲載されるであろうものとは違う、編集担当者から送っていただいた集合写真を紹介します。この日は専従職員4名のほかにスペシャルゲストの助っ人(後列左から3人目)が作業に参加しており、はるばる松本から取材を見学に見えた方(いちばん左)も加わり、たいへん賑やかな一日となりました