NPO法人森づくりフォーラムのシンポジウム
20日、東京で開催された森林や林業が直面している問題について情報を共有し、これからの行動を模索するシンポジウムに行ってきました。
これまで外国産の木材を原料としていた合板業界が、国産材を使うようになったことで、各地で始まっている大規模な伐採のこと。林野庁が進めている新生産システムの普及によって、各地に計画されている大規模な製材プラントのこと。国全体の施策がコストのかかる田舎を切り捨ててゆく方向へ進んでいると見られることに、私たちは市民として何をするべきなのか。
あたりまえのことですが、地域が変わるとこうも事情が変わるものなのか、という驚きとともに、今回はもうひとつ驚かされたことがありました。10年ぐらい前に、このフォーラムが開催する行事にパネリストとして参加したときと比べると、参加者全員の認識や議論がかなり突っ込んだところで行われていることを強く感じたのです。皆さん、グローバルな視野を持ってかなり勉強をしている。しかもそこには、もともと「森を思う市民」としての、単に生産ではなく環境資源としての森林という視点がブレずに生き生きと存在している。では頭でっかちなのかというと、そうではなく、日曜日になるとそれぞれがフィールドで汗を流し、ちゃんと山の気を吸い込んでいる…。
一方でプロはどうしているか? そう考えると、自分が強く望んでいた、多くの市民が森や林業の実情を知ることによって、社会が迎えようとしている新たなフェイズに対して、業界関係者の無頓着というか、無知であることに背筋が寒くなってきます。これからは、業界がいろいろな角度から突っ込まれる時代がやってくることでしょう。実に刺激的な一日でした。
コメント
Posted by: こーりきー [ 2007年5月24日 09:29 ]
>参加者全員の認識や議論がかなり突っ込んだところで行われていることを強く感じたのです。皆さん、グローバルな視野を持ってかなり勉強をしている。しかもそこには、もともと「森を思う市民」としての、単に生産ではなく環境資源としての森林という視点がブレずに生き生きと存在している。
そうですか・・
なかなか感じられずにいたところでした。。
とってもうれしい情報です。。
ずいぶん前に、仲間と里山教室「そま小屋」を立ち上げたときから
そこを意識して走ってきました。
森林療法もその延長上にあります。
ぜひ
そのあたり感じることをこれからも教えてください。
お願いいたします。
Posted by: かなめ [ 2007年5月24日 22:22 ]
正直なところを申し上げると、林業に直接関係の無い人たちには、まだ森林を「資源」と捉える感覚は希薄なのかもしれません。でも、この席で耳にすることを、後々自分の考えをまとめる題材にしようとあれこれ構想していると、たちまち議論についてゆけなくなるライブ感覚が今回のシンポにはありました。
つまり油断できないぐらい、中身の濃い話が出てくるのです(しかも、くどいようですが環境としての森は大前提で)。
パネリストのような立場で参加していると、突然意見を聞かれるので、自分の思いを膨らませてばかりいると、大恥をかくことになります。ですから強く印象に残る部分しか記憶できなかったのが残念です。でも、それは逆に言えば、森林ボランティアと呼ばれている人たちの考えや意見が、以前にも増してたいへんに高度なものになっているということになると思います。
こーりきーさんが関わっている森林療法についても、かなり多様化が進んでいるようですね。きっとそこに関係する市民の知識や意識も日々向上していることでしょう。プロにとって、市民はつねに良い緊張感をもたらす存在なのではないでしょうか。反面ウチの近所では、残念なことにそれに追いつけずにいる地方自治体の姿がむき出しになっています。