認証制度について考える機会がありました
MSC(Marine Stewardship Council)という言葉をはじめて耳にしました。日本語では海洋管理協議会と表現されています。ここまで書くと、林業に関係している人の中にはピンと来る方が少なくないかもしれません。そう、FSC(森林管理協議会)を思い起こすのではないでしょうか。
一昨日の晩のNHKニュースウォッチ9を見ていてのことです。前振りは近頃話題のマグロの漁獲制限からで、「おぉ、マグロも高嶺の花になるのだな」ぐらいの軽い気持ちだったのですが、本題の紹介で登場したMSC漁業認証を取得中の京都底引網漁連の話題から、グングン引き込まれてしまいました。
自然からの恵みを、あまり形を変えずに利用する産業(回りくどい言い方ですが、おおまかに第一次産業ということでしょうか)の生産者が、自らの生産量を管理する手法と、消費者の行動が結びついているということを強く実感することができ、ボーッとしている頭をたたかれたような衝撃を感じました。
ロンドンにあるMSCの公式サイトは英語表記なので、もっと手軽に知りたい方にはWWFの説明が良いかもしれません。またすでにMSCを取得している株式会社亀和商店さんのサイトも参考になりますよ。
森林認証のことを何度も目にしているはずの自分が、このニュースを見たときにまず驚きがあり、感動があったということは、何を意味しているのでしょう。こんなことを書くのは恥ずかしいのですが、そこにはまず自然資源が有限であることへの気付きがあったのだと思います。
京都の底引網漁師の皆さんの資源保護のための努力に、基本的にはFSCと大きな違いが無いはずなのに、はじめてのことのように感動すると言うことは、自分の中にまだこの認証制度自体への心構えが備わっていないことの証ではないか、というふうに考えました。
このことは、論文や報告を読むことで知識として頭に入れてはいても、林業界に身をおく自分自身にとって、認証制度がその必要性や効果を体現できるものになっていない。逆に言えば、自分の関わっている世界がいかに持続可能性のアピールに乏しい世界であるか。自分自身、理屈をこねて情報を発信しようと努めてはいるが、この点については何ら判りやすいアピールをしていない。ということを意味しているようにも思います。
ともかく、こういうアプローチを真剣に考えている人たちの生産している瞬間が、日本の漁船の上にも展開していること。それは単に「戦略」やら「付加価値」というレベルではなく、本質的にはもっと深刻なところに本来の目的を持っていることを、もう一度このブログに立ち寄ってくださる皆さんに考えていただきたく、報告させていただきました。