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そまびとたちの奮闘記

NPO法人信州そまびとクラブ。
山仕事をしながら、
林業のこれからの姿を提起します。

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起業の相談

 農林業での起業をめざす青年から相談を受けました。相談の内容は起業そのものについてと言うよりも、NPO法人(以下、このページではNPOと略します)として設立する可能性についてのものがほとんどでした。

 その他の具体的な質問は「林業面での起業にあたって既存の事業体との軋轢はないか。良い関係を保つためにはどうすればよいか」といったもので、おたがい、山仕事が終わってからの2時間ほどを、みっちりと農林業の将来のために注ぎました。

 この種の相談や質問で最も多いのは、(今回のパタンは違いましたが)NPOを起業の形のひとつとしてだけ考えて、他のたとえば株式会社や企業組合、有限会社との比較に注目したものです。しかし、稼いで食ってゆくことだけを目的にするのであれば、NPOを比較の対象にすること自体が無意味だと私は思うのです。なぜならばNPOが生まれてきた背景には、社会のさまざまな限界を乗り越えるという目的があったからであり、「こんな活動(もっと端的に表現すれば「人たち」)があれば良いのになぁ」という希望が、その起業の原点だからです…。


 とは言いつつも、この日「NPOのデメリットは何ですか?」と問われて、「しいて言えば、予算と報告の義務の煩雑さかな」などと矛盾した答えをしている自分に苦笑もしました。なんの禊(みそぎ)も無く、法が示すところの目的にだけ合致していれば法人格を得ることができる、という柔軟性の高い制度が用意されているのですから、自分たちの活動の公益性を訴えるのであれば、予算や報告などは義務なのです。それをデメリットに挙げてしまうこと自体、まだ自分の考え方が甘いことを自覚しました。


 他にも、相談と称して実は自分のためになったことがたくさんありました。会話をしながら「日本の社会において、農と林は本来分けて考えられるものではなかったはず(ある意味では漁も一体で考えるべきかもしれない)」ということを改めて感じたこともそのひとつです。私は10年ちょっと前まで、第一次産業とまったく接点を持たなかったせいか、農業と林業は異なったものという観念を未だに頭のどこかに残しています。今回はそのことを強く叱られたような気がします。


 そして、農業問題のことを何も知らない自分が、とても恥ずかしく感じられたできごとでもありました。 青年様に感謝。

コメント

Posted by: somakudo   [ 2006年11月18日 08:02 ]

広大な平野で農業をしている場合には
農業は単独の”業”であるわけですが、
日本の場合はその殆どが山間部と接しており、農地を確保するために山に入ったり、
農業に必要な物資などを調達しに山に
入ったりしてきたと思います。
もっとも平野であっても大昔は山(原野)だったでしょうから同じでしょうが。
農業を営みつつ、冬には農業ができないので目の前にある山で仕事をする。
また、山にあった「何かいいもの」を
もっと安定して作りたいので畑で作り
だしたりと、もともとは”業”としては分かれていなかったような気がしますね。
いつしか(人の好みで)「俺は山の仕事の方が面白いな」とか
「私は畑がいいな」と言ってそれぞれにさく時間が偏っていき、やがて林業
と農業に分かれたのではないでしょうか?
農家に嫁いで林業を続けるにつけそう
感じるようになりました。
また、気のせいかもしれませんが、
林業をただの稼ぎ口としか考えていない人以外(ややこしいですね)は
なぜか農業にも目覚めていくようですね。そういった人達は、
自分は林業(農業)をして生きていくんだ、と言うよりも自分はここで生きていきたいから林業や農業を始めるんだ。
と気付きだしたのでは?

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そまびとたちの奮闘記 「そまびと」とは「きこり」のこと。現代のそまびと=技能職員たちが起業し、模索しはじめました。

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