目立てとアサリ
現場で作業する者にとって、刃はこしらえるものです。山の現場に出来合いの刃を持ち込む場合、刃が新しいうちは、木や草がよく切れますが、刃先が丸くなったり、ヤニがつくことで、だんだん切れ味がおちてきます。そして作業中につまづいたりすると、刃がズボリと土にささったり、不本意にも石をたたくことがあり、たちまちものを切ることのできないただの鉄になってしまうことが多々あります。
チェンソーでも、刈り払い機でも、その都度新品の刃に交換できるほど、山の現場は安易ではありません。自ずとその場で砥ぎなおし、すぐに再生するものを利用することになります。
除伐に使うために、刈り払い機にとりつける「笹刈り刃」にアサリを付けているところ
除伐とは、育てようとしている木がまだ10年を過ぎた程度で小さいとき、育てようとする木以外の木が生長の邪魔をすることを防ぐために、それらをすべて伐り倒す作業のことで、必要に応じて、最初の間伐が同時に行われる場合もあります。
当地では、その作業にエンジン式刈り払い機(草刈機)を使うのが一般的で、直径10センチぐらいの木を切るためには、作業者の好みにより「チップソー」「のこ刃」「笹刈り刃」等の刃を選びます。
私は笹刈り刃派で、30枚ほどついている刃をヤスリで目立てしたあとに、一枚一枚にアサリと呼ばれる角度をつけなければなりません。
チェンソーの目立てにも同じことが言えますが、刃の質はその日の作業効率を左右します。切れ味が悪ければ、それだけ燃料の消費量も増え、機械の負担も大きくなります。
老眼が進んでくると、若い頃のように暗い場所での目立てがやりにくくなるのが辛いところです。夕方暗い場所で付けた刃では満足できず、結局、朝現場に着いてからやり直しをしてしまいました。
静かな目立てのひと時は、私にとって鳥たちの声を聞き、季節の変化を感じる時間でもあります。
コメント
Posted by: こーりきー [ 2006年10月11日 10:41 ]
我々が登山道を整備するときも
笹刈り刃を使います
目立ってとても大事とともに
ふうふう言いながら登っていった後の
休憩の時に
静かに目立てにいそしむ。
良い瞬間ですよね。
Posted by: かなめ [ 2006年10月11日 18:24 ]
こーりきーさん。そうなんですよ。山で目立てをしている時間というのは、山に自分が溶け込んでいるような感覚の時間なんですよね。
何年かまえに、そまびとの双眼鏡と称したこんな手記を書いたことがあります。よかったらお読みください。
相変わらず、仕事で通いつつも、仕事から離陸してしまっている自分が、一日に何度も現れる毎日をおくっております(笑)。
Posted by: こーりきー [ 2006年10月12日 09:20 ]
鳥にとても詳しいんですねぇ
びっくり。
私は中でもとのが一番よくわからないかなぁ。
バードリスナーになりたいといつも思っているのですが
そばですぐに教えてくれる人がいないと・・なかなか。
いつか一緒に森を歩きたいですねぇ(^^)
Posted by: かなめ [ 2006年10月12日 23:10 ]
「バードリスナー」 良い響きの言葉だとおもいます。「ウォッチング」というと、なんだか目の玉ひんむいて、排気ガスをばらまきつつ、鳥を追いかけまわすような感じがこの国の鳥見人の一部のひと達から感じられます。
いつか黒姫の鳥の歌を聞きにうかがうつもりですので、そのときにはどうぞよろしくお願いいたします。