ふるさとの森林づくり講座
「愉快な山仕事講座」「森林で学ぶセルフケアプログラム」「森林ボランティアのための安全研修」…。信州そまびとクラブでは、森に関わるNPOとして各種のメッセージ発信を行ってきました。
そして、この秋から冬にかけて、新たにふたつのメッセージ発信を考えています。ひとつは、県のコモンズ支援金の助けを受けて、10月22日開催が決まっている「ふるさとの森林造り講座」。もうひとつは、「きこりのための起業講座(仮名)」です。どちらも、これまでの活動を通じて、より現実に即した発信をという視点から企画されたものです。
「ふるさとの森林づくり講座」は、今までの森林・林業関係イベントに参加していて気づいたことが発端となり、企画しました。その気づきとは「同窓会化」!! いろいろな行事に参加するたびに、最初のうちは「おお、こんなに仲間が居たのか。林業界もなかなか捨てたものじゃないぞ」と喜んでいたのですが、回を重ねるにしがたい、いつも同じメンバーが参加しているだけであることに不満と不安を感じるようになったのです。
問題は、奥が深く厄介なくせに、それを醸成している社会が驚くほど狭い。これが私たちの地元の林業界の姿ではないかと思うのです。だから、一見活気に満ちているようでも、よく見ると多様性に欠け、マンネリ化しています。そこに昨年、長野県では全国に誇ることのできるふるさとの森林(もり)づくり条例が施行されました。この条例のすごさのひとつは、たとえ森林と直接関係のない一般市民であっても、こころざししだいで「地域森林委員会」というオフィシャルな集団の一員になることができる点にあります。せっかく考え出された仕組みですから、これを何とか活かしてゆきたい。そのための新風づくりという企みが、この講座には秘められています。
もうひとつの「きこりのための起業講座」にも、実は長野県ならではの発想の土壌がありました。
ご存知のとおり、最低3名の従業員と1名の専門技術者さえいれば、長野県では、意識のあるものすべてに、森林づくりの公共事業に応札できるというチャンスが用意されています。私たちはあるイベントで、そういう制度を組み立ててきた行政に関る方から直接「森林と林業の活性化のために、あなたたちのような仲間をどんどん増やしていって欲しい」という要望を聞かされました。そして、実際に林業に関係している人からも、起業のためのノウハウを体系的に知る機会を設けてほしい、という要望が出ているのです。
この講座は未だ構想段階ではありますが、何とかこの冬に財源をつくり、実施できないものかと毎日考えているところです。
コメント
Posted by: せんば [ 2006年10月 8日 01:17 ]
こんにちは。こうやって日々悩みながらも前をみようとしているそまびとさんたちには、頭がさがる思いです。森の動物さんたちも、さぞ未来の食糧に期待していることだと思います。
この講座の『一般市民も参加できる・・』といった機会はとても重要だと思います。
先日、高校講座の化学分野のTV番組をみていたら、日本のとある海で養殖ができなくなってしまった問題に、漁業組合のひとたちが、その海に直接流れてくる川の栄養を考え、その上にある山の森林が荒れてきたり過剰伐採されていたからだと気づき、山へ植林しに行った話がありました。
その後、その山の保全はどうしたのか気になる点は残りますが・・・、本当に私達は”食物連鎖”という輪の中にいることを忘れはじめていると思います。私も、そのひとりです。
林業の起業を考えている人たちを、私達一般の市民(私は都民ですが・・)も、もっと応援していく、理解していくことが必要だと、東京にいながら感じる今日この頃です。
Posted by: かなめ [ 2006年10月 8日 19:48 ]
せんばさんが書いてくださった>森の動物さんたちも、さぞ未来の食料に期待している… のところが、実はこの国の林業が意識の外側に置き続け、国民の多くも「何とも感じていない」あるいは、そういう感性を持つことができなかった部分なのです。戦後60年以上、自分たちが食うためだけに置き去りにしてきた、このオトシマエをつけることがひとつの仕事です。
私たちがコミュニケーションに長けた生き物であるならば、東京に居ながらできることが、ほぼ無限にあるのではないでしょうか。それはどこに居てもできるショピングと同じ重さ、頻度で、目の前にころがっているのかもしれません。話をややこしくする気はないのですが、林業に就いて目にした、おかしなことをあれこれと考えているうちに現代社会の理論という本にたどり着きました。
何を言いたいかというと、とても素朴なものを、見方を変えたり、伝え方を工夫してみることで、私たちはそこに無限の可能性を感じる、ということを繰り返してきて生きているということです。
私が感じている「無限」を、ふたつお伝えしました。どこに暮らしていても、何をやっていても仲間でいることを簡単に感じることができる、この働きやすさを、おたがいフルに活かしていきたいですね。