山の火
信州そまびとクラブを結成してから不思議に感じたことのひとつに、仲間の火の燃やし方があります。どういうことかと言うと、異なる地域の異なる事業体で働いていた者同士なのに、火のつけ方や燃やし方の作法がまったく同じだったのです。
焚き火の材料も、環境条件も同じなわけですから、収斂(しゅうれん)進化を遂げたと考えれば合点がいくのですが、私のように山に入るまで自力で焚き火をしたことさえなかった者にとっては、こうした作法が頑固に伝授されているということが嬉しくもあり、神秘的にさえ感じられることでした。
世間では、まだ半袖の人の姿も見られるようですが、標高1300mの間伐現場では、すでに今年の2回めのお昼休みの火です。煙に目を細め、汗で冷えた体を温めながら 「山の火ってぇのは、こうやって燃すもんだ」と、師匠からよく気合を入れられたことを思い出しました。
自然の中で、「火」は生命の基本のひとつです。