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そまびとたちの奮闘記

NPO法人信州そまびとクラブ。
山仕事をしながら、
林業のこれからの姿を提起します。

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起業から今日まで「最初の1年」その2

 今思うと、どのような営業活動をして、どんな収入が見込まれるのか、という戦略が、起業のときの私たちにはほとんど無かったように思います。しかし、ただ「何とかなるさ」という感覚ではありませんでした。


 少なくとも私が確信したのは、この地域では見渡す限り人工林が広がっており、自分たちはそこの手入れをする技能を持っているのだから、そこが人工林である限りは失業はしないだろう、ということでした。考えてみれば、それは作業の後継者不足を逆手に取ったような確信であったのかもしれません。


 さて、林業技能作業士研修でのエピソードですが…、


 まず忘れてはならないのが、この研修と平行して行われていた「長野県林業士」の研修生との出会いではないでしょうか。この2年に及ぶ研修を受講する人たちは、ある意味では私のような商売人よりも、山に対してより強い思いを持つ人と言えるかもしれません。中には「仕事に必要だから」という理由で受講する人もいるのですが、多くの人が、自分の林業への関心や、地域への思いによって、手弁当で参加しているのです。そしてその中の一人が、現在そまびとクラブ専従職員の紅一点である、麻生知子だったのです。

 人と人の出会いとは、ほんとうに貴重で楽しいものです。お互いの人生が、その後に大きく影響することになるわけです。

 そして、同期のグリーンマイスター研修にも、多様な人々が参加していました。
 長野県では、県発注の森林整備事業に、広く応札の機会を与えるということで、この研修に多くの建設関係の人たちも勉強に来ています。おかげで、日中の研修時間以上に、夜の懇親会の部で異業種の人の見解、常識、経営センスを勉強させていただくことができました。こういうノウハウこそ、後からジワジワと効いてくるものなのだと、今、強く実感しています。

 林業機械メーカーの人たちとの懇親(皆さん同じ施設に泊り込みですから)も、貴重な体験であり、忘れることができません。機械に関することはもちろんのこと、業界の様々な情報や営業センスも勉強になるものでした。

 ここで知り合った建設業の方からは、何と研修中に仕事をいただいたというエピソードもあります。この人の勤める会社が落札した、県発注の草刈作業をやらせてもらうことができたのです。この話しは、研修に時間を割かれて営業に手の回らなかった私たちにとって、まさに「棚から牡丹餅」の話しでした。 つづく