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そまびとたちの奮闘記

NPO法人信州そまびとクラブ。
山仕事をしながら、
林業のこれからの姿を提起します。

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松くい処理

060702shori.jpg
このように倒した木を集積し、カバーをかけて土で密封したあと、中で薬をこぼします

 「松くい虫」という名前を聞かれたことがあると思います。現在、私たちが仕事をしている東信地域では、標高850mぐらいを境に、それよりも低い場所にあるアカマツ林に、この松くい虫の被害が発生しているそうです。アカマツを枯らせるのはマツノザイセンチュウと呼ばれる北米産のセンチュウで、それを媒介するのがマツノマダラカミキリという在来の昆虫です。

 東信地域の多くの自治体が、アカマツの被害拡大を防ぐために、枯れ始めたアカマツを倒して、玉切り集積し、生分解性のシートでカバーしてから、中のアカマツをすべて殺虫剤でくん蒸処理する、という作業を発注しています。

 何せ、相手は羽で飛び回る虫ですから、被害は所かまわず発生します。半日かけて、やっとの思いで山の中腹に見えていた枯れ木1本にたどりつき処理をする、なんてことも珍しくありません。

 最も湿度の高い季節に、機械の入らない山中で、玉切った直径30センチ以上もある木を積み上げるのは、たいへんに骨の折れる作業です。

060702shori.jpg
作業実施前の枯れ木です

060702shori.jpg
作業終了後、枯れ木は無くなっています。が、果たしてこの作業が、虫の広がる速度に追いついているのかどうか。結果は数年後にわかるでしょう

コメント

Posted by: 編集部   [ 2006年7月 7日 11:45 ]

かなめさん、早速の投稿再開ありがとうございました。

いつも思いますが、きれいなカラーの写真の報告でとてもわかりやすく、作業の大変さが、より迫って伝わってくるようです。


マツクイムシ対策は、結局こうやって一つ一つつぶしていく途方もない作業だと思います・・。お疲れ様でございます・・。

こうやって、日本の人にとって馴染み深い大切な森と、その景観とが守られるのですね。
結果まで見守りたいと思います。

Posted by: NORA・前田   [ 2006年7月 7日 16:12 ]

かなめさん、ブログのご案内ありがとうございます!ホント、普段のお仕事の様子がリアルに伝わってくるいいブログですね。

こちらでは松はほとんど見ることはありません。聞く話によると、戦後すぐに枯れてしまったようです。

またちょくちょくのぞかせて頂きますね。

Posted by: こーりきー   [ 2006年7月 7日 18:15 ]

かなめ様
マツクイムシ・・大変ですね。
こちらはまだマツクイムシは、もう少しのところでくい止まっていますが、カシノナガキクイムシという主にコナラがやられるものが逆に上から発生してきていて、長野県にもついに新潟から下りて来始め、対策が大変です。何せこのあたりはナラの木ばかりですから。

そういえば昔書いた童話の物語にマツクイムシの話を書きましたっけ。その時はキツツキたちがお世話になっていたみなしご達にお礼として活躍して退治してくれると云うものでした。
本当にキツツキが決起して頑張ってくれればいいのにねぇ(^^)
そういえば山口は本当に松枯れが進んでいました・・・・
ビックリするほど。

Posted by: hide   [ 2006年7月 8日 15:29 ]

松くいの駆除作業ご苦労様です。
こちらでも同様の作業を行っています。
HPも見させていただきましたが、くれぐれも作業にはお気をつけください。

Posted by: かなめ   [ 2006年7月 9日 09:54 ]

 編集部さま コメントをありがとうございます。いまだにブログのことをよく理解できていないため、画像がゆがんでおりました。さきほどサイズを修正したところです。

 「作業の大変さ」なんて、たいしたことはありません。それよりも、今度は何を投稿しようかとあれこれ考えるほうが重労働で…。…冗談です!

 システムが復旧したので、せっせと投稿させていただきます。

Posted by: かなめ   [ 2006年7月 9日 10:12 ]

こーりきーさま

 コメントをありがとうございます。マツクイムシをやっていると、よく「かけた費用だけの効果があるのだろうか」と考えてしまいます。仕事をやらせてもらっている立場で、こんなことを言うことが間違いだと、叱られてしまいますね。


 先日、末口22センチで5mのアカマツが、立法あたり18,000円で売れました。いつもコンスタントに売れるとは限りませんが、これだけの値打ちのあるものならば、今のうちに皆伐して換金し、世間に不足している新植地を増やすことが、所有者や生態系のためにより良いやり方のように思います。


 九州から長野に来た方が、アカマツがあるのでビックリした、という笑い話もあります。本当は笑えない話なのですが、それほどまでになってしまっている…。ひとつの文化が消滅しようとしているのかもしれません。


 そして北からはカシノナガキクイムシが来ているのですね。昨年、セラピーの実証で飯山におじゃました際、ポツリポツリとやられているミズナラを拝見しました。
 
 松ぼっくりや、どんぐりが、とても珍しいものになってしまった社会なんて、創造しただけでゾッとしてしまいます。

 当地でも、昨年からカシノナガ~の調査のお手伝いをさせてもらっていますので、今年もトラップをセットしたら、このブログに投稿します。

Posted by: かなめ   [ 2006年7月 9日 10:20 ]

hideさま
 コメントをありがとうございます。島根でも対抗性の品種を増やしているのですね。海岸線のあるところは、死活問題ですよね。

 
 先日別件で、マツクイムシのくん蒸処理薬のメーカーの方がおいでになりました。 私たちは安全な薬品取り扱いのために有用な情報をいただき、先方もそれなりに現場の情報を得ていかれたようです。


 あちこちの事例や、異なる立場の人たちの情報を、もっと容易に交換できるようにする必要があると感じました。


 各地の作業現場にも、きっと技術的な面でたくさん問題があると思います。

Posted by: かなめ   [ 2006年7月 9日 10:36 ]

NORA・前田さま

 コメントをありがとうございます。
 そうですか。横浜では松はすべて枯れてしまったのですか。しかも戦後すぐに。やはり、進駐軍の多い地域だったからでしょうか。


 ということは、地域の子供たちの里山原風景に、アカマツがないわけですね。とても気の毒なことです。


 キャリアであるマダラカミキリの飛翔能力は、とても弱いと聞いているので、もしかすると、もうセンチュウもカミキリも居ない地域ならば、アカマツ林を蘇らせることができるかもしれませんね。

Posted by: hideshi   [ 2006年7月10日 08:35 ]

 やはり、全国各地で、松くい虫、カシノナガキクイムシの被害は広がっているのですね。ブログをご覧いただければ分かるようにこちらでも被害があります。
 研究機関や保護団体の「コナラの被害木が増加することによりクマが人里へ出没するようになる」というコメントを読んだことがあります。そうだとすれば本当に心配になります。
 また、今のところ当県が生息の東限(北限?)になっているようですが、スギザイノタマバエの被害もあります。杉を枯死まで至らせることは無いのですが、材を変色させるため、収穫時の収入に影響が出てきます。
 対策としては、間伐を実施し、内樹皮を厚くして形成層以下の内部への材班を防ぐことが挙げられます。薬剤散布は経費が掛かりますし・・・。
 H10年に(私も)調査を実施したところ、初めて本県で発見されたのです(H8,9年には山口県までの生息は確認されていたのですが)
 H10,11年当時は、この「ザイタマ」被害を防止するために、「間伐をしましょう!」と普及していたものです。
 残念ながら、徐々に東進しているのではないか懸念されます。
 しかし、もともと南洋の虫ですので、長野まで被害が拡大することは無いと思います。ご安心ください。

Posted by: こーりきー   [ 2006年7月10日 09:35 ]

なるほど・・知らないところで・・今度はスギノザイノタマバエですか。
やはり
この社会の
根本的なところに問題があるのでしょうね。

かなめさま
カシノナガキクイムシのトラップかけられましたら
ぜひ情報下さいませ。
アファンの仲間で
必死になってカシノナガキクイムシと戦っている男がいます。
なんとか応援していきたいのです。
よろしくお願いいたします。
また
こちらにも多少の情報あります。
なにかお役に立てることがございましたら・・・

Posted by: かなめ   [ 2006年7月13日 09:21 ]

 hideshiさま コメントをありがとうございます。

 カシノナガキクイムシ被害には、クマというおまけがついてくる可能性、まったく予想していませんでした。
 考えてみれば、みんなつながっていますので、いろいろな現象が出てきて当然ですね。万事「風が吹けば…」のようなものでしょうか。キクイムシの被害が多きい地域では、より一層のクマに対する用意が必要になるということですね。

 タマバエのことは勉強不足で、ぜんぜん知りませんでした。これまた、少しずつではありますが、木材に光があたりはじめたところでの被害なので、収入への影響はなんとしても阻止したいですね。
 寄生蜂などの天敵の活用についてはどうなのでしょうか。また、サイクルの短い生き物でしょうから、南洋の虫と思って安心してばかりもいられないように思います。

 当地では、マツクイムシ処理の標高限界が 800から850へ上げられたそうですから、やはり最前線の人々に徹底的に監視、報告をしてもらうような情報伝達の仕組みが必要なのではないでしょうか。

Posted by: かなめ   [ 2006年7月13日 09:28 ]

 こーりきーさま。コメントをありがとうございます。

 カシノナガキクイムシは、けっこう大きな木にばかり入るというようなことを聞いています。ミズナラも、巨木になると良い値がつくようですから(こんな視点ばかりで、ごめんなさい)、そういう意味でも許せませんね。

 私の暮らす村には、標高1300ぐらいの牧場の中に、大きなミズナラばかりの林があり、昨年はそこにトラップを設置しました。県の研究機関への協力で行っており、今年も継続するようですので、可能であれば情報はお伝えしたいと思います。

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