シカとの戦い
電気牧柵と呼ばれる柵のメンテ作業を請負っています。今年もその第1回目が終了しました。
この柵は、シカなどが農地へ出て、食害や踏み荒らしをすることの無いように、高圧電流を流したアルミ線で集落全体を囲んでいるもので、私の暮らしている村では8集落すべてを、この柵が囲んでいます。
村の基幹産業である高原野菜の出荷が忙しくなるころ、ちょうど柵の下の草が大きくなりはじめるのですが、草が線に触れてしまうと、電流が大地へ逃げてしまうため、柵がただの線になって、効果がなくなってしまうのです。また、林の中では、落ちてくる枝も、いたるところで線を切断しています。
このため、忙しい村人に代わって、ひとつの集落で、線の修理と、全線の草刈などを信州そまびとクラブで、ひと夏に2回請負っています。総距離24キロ。どんな量か想像できますか?
野生生物との戦いも、楽じゃありません。もっとも、戦っているのは私たちではなく、地域の人々ですが。
コメント
Posted by: somakudo [ 2006年6月27日 06:43 ]
僕はシカのバンビーノです。
最近、僕の住んでいるところでは
あまり食べ物がなくていつもお腹をすかしています。
どこかに美味しい食べ物がないかなぁ。
あっ。あの広くなったところにおいしそうなものが沢山あるぞ。いってみよう。
ビリッ!痛~い。何だろう今すごく痛かったなぁ。
せっかく目の前においしそうな丸い草が沢山ならんでいるのに、いこうとすると痛いし、どうしよう。
そう言えば以前はこの辺りも木や草が沢山はえていたはずなのになぁ。
あの2本足であるく毛無し猿があらわれてからこんな風になった気がするぞ。
僕らも最近仲間が増えて食べ物がもっと足りなくなっているし、何とかあの丸い草を食べたいけど、痛いのは嫌だし、あ~ん、誰か何とかしてよぉ。
Posted by: hide [ 2006年7月 8日 15:22 ]
はじめまして。初投稿となります。
本ブログはよく拝見させていただいておりますし、「林業新知識」の記事も胸が痛くなる思いで読ませていただきました。
このコメントでおわかりのように、私は県の林業普及員をしております。
林業普及員の顔が見えないと言われて久しくなります。5年ぶりに林業普及に復帰したのですが、やはり、可能な限り現場に出て森林所有者と顔を合わせて働きたいという気持ちは当然あるのですが、思うようにまだ普及活動が出来ていない状況です。
さて、「シカとの戦い」に関連して、記載します。
貴県と同様に、こちらでもシカ及びクマの被害があり、特に私が担当している地区はクマが問題となっています。この3月までは同事務所で鳥獣担当をしていたため、深く関わっていました。農作物被害および人的被害(精神的被害も)を防止するための対策に微力ながら取り組んでいました。
有害捕獲を許可するだけでなく、不要果樹のもぎ取りや電牧の設置に市町担当者の方々と協力しあって実施してきました。
担当地区でも、集落を4kmにわたって電牧(ワイヤータイプではなくネットタイプ)を設置。
クマ対策だけでなく、イノシシ防護柵(ワイヤーメッシュの忍び返し柵)の設置にも力をいれて来たのですが、その際には当然、地元住民との話しあいが重要となります。柵を設置後、「効果があった!ありがとう!」と感謝の言葉をいただいたときには本当に充実感がありました。鳥獣担当がこのようにやり甲斐があるとも夢にも思わなかったのです。
そして過去、林業普及員をしていたとき、林家の方から感謝された事があっただろうかと考えてしまったのです。農業と林業ではスパンが違いますが、それを差し引いても、地元住民から何かひとこと声をかけられるくらいの活動をしなければならないと思いました。
林業普及員に復帰した現在、原点に立ち戻り頑張ろうと思っているところです。
Posted by: かなめ [ 2006年7月 9日 09:44 ]
hideさん、はじめまして。コメントをありがとうございます。また、林業新知識の連載もお読みいただいているとのことで、重ねて御礼申し上げます。
獣害対策の経験をお持ちの方が、林業普及員とは、鬼に金棒。現場では経験がフルに活かされるのではないでしょうか。やってもやっても、仕事は無限にある、という状況が目にうかびます。人手が減ってゆく中で、被害は増えてゆく…。大変なお仕事だと思います。
こちらでも、よく行政の鳥獣担当者と話しをするのですが、いかんせん「おかみがなんとかしてくる」という流れになり易いところが、難しいところのようですね。お金はないし、人手もない。なのに地域の人々は「行政が万能」と信じて疑わなかったり、ひどい人になると「俺は税金を払っているのだから」と持ち出すしまつ。
獣害は、人が原因であり、動物の問題ではなく人の問題なのだから、自分たちで考えてなんとかする。という基本的なことを、カッチリと認識さえしてもらえば、あとは比較的スムースにものごとが進んでゆくように思います。
当地で電柵を張った人たちは、各集落ごとに、シーズンのはじめに自治でメンテナンスをするファイトを持っています。しかし、さまざまなノウハウがきちんと共有されないために、せっかくの柵の効果が発揮されないケースが目につきます。
いずれにしても、ファシリテータの腕の見せどころ、とでも言うのでしょうか。「その気になってもらう」までが大変なんですよね。
Posted by: 小鉄 [ 2006年7月14日 20:27 ]
hideさん充実感があった、やりがいがある夢にも思わなかった。感謝されてよかったですね!普及活動頑張ってください。
あなたは防護柵に絡まり、あばれ、さらに絡まり身動きができずに1日1日と体力が衰えて息絶えていくカモシカの姿を見たことがありますか?人間本位の立場からだけでなく、野生生物との共存にもっと別の方法があるような気がしませんか。