約50年前のこの地域の川の様子を
Oさんからお聞きする。
Oさんは、竹馬や竹スキーづくりを
教えてくれている元気で、愉快なおじいさん。
以前から、Oさんはよく「この川は、もう死んでいる。
今のこの川は、どぶ川よりもひどい」とよく言われていた。
私たちから見ると、まだまだ、きれいで豊かな川だと
おもっているのに。どうして、という疑問があった。
それで、県立大学のT先生と地元のKちゃんと一緒に、
おじいさんの川のお話を聞く事になった。
Oさんは、話だけでは、ピンと来ないだろうと、
昔を思い出して、絵地図を書いてきてくださった。
その絵地図をみて、たまげた。
さらに、おじいさんのお話を聞いて、これまた、たまげた。
Oさんの口からは、今からは、想像できないほど
川と人の生活が密接につながり、豊で、楽しい川であったかが
詳しく、そして、うらやましいほど、楽しく、美しく語られた。
人が生活をする事自体が、川を豊かにし、そして、
その豊かな川が人の生活に潤いを与えていた。
それは、夢の世界であった。
Oさんが、言っていた「この川は死んでいる」という
意味が少しは、理解できたような気がした。
私たちは、いかに貧困な川を見ていたのか。
豊かな川というものが、どうあるべきかの片鱗を見せてもらった。
ショックだった。
Oさんは、つぶやく。「そんな事は、到底無理だろうが、
もう一度、あの川で遊んでみたい」と。
私たちは、何をすべきなんだろうか。
どう生きるべきなんだろうか。
子供たちに、何を伝えたら良いんだろうか。
本当の豊かな自然の暮らしを知らない者が
何を伝えれるんだろうか。
ものすごい何かを、背中に負わされたような気がした。
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