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森からの宅配便

森林に関わる仕事に就いてもうすぐ20年。日々の泣き笑いをご覧あれ!

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無駄な補助金

 夕飯を食べながら、TVを見ていました。
某閣僚が話す『補助金』の大幅削減について。
思わずご飯が喉につっかえた。

 『 "切り捨て間伐 "・・・ 
  切って、山に捨てるだけなんですよ。
  それなら最初から道を整備して切り捨てる木を
  搬出したら良い事じゃないですか。
  こんな無駄な事業にも補助金が出てるんです。』

・・・言い切りよったで・・・
・・・" 無駄 "って、言い切りよった・・・
むむむ、と腹の底から熱いモノが沸き上がってくる

 『出せる木やったら、言われんでも出しとるわぁ〜〜!!』

思わずTVに叫ぶワタシ。
おさまらん、全然おさまらん。美味しいサンマが台無し。
ケド、はた・・・と気付いた。

 『一年半前はワタシも同じ事思ってたやん・・・』

切り捨て間伐。
読んで字の如く、木を切り山へそのまま放置します。
確かにもったいない。
けどね、ちゃんと理由があるのです。

 *その①* 出すと赤字になるんです。
全く、数十年手を入れられていない山。見た事ありますか?
ヒョロヒョロと曲がって、不安そうに立つスギ
全く光が差さず、地面がやせ細り、根が地表に浮き出ているヒノキ
そんな山にいきなり道をつけて、 
さぁキミタチ、出てきたまえ!と言っても
ダレも出て木やしない。
間伐した材の約7割は搬出出来る(お金になる)木でないと
赤字になると言われています。
山を手入れしましょう。お金はこれだけかかります。
そう言われて進んで施行する事が出来るでしょうか?
かと言って、このまま放っとく訳じゃない。
まず、間伐する事で山に光を入れる。
一本、一本の木を目覚めさせる。山に風を吹き込む。
あくまで、何年後かに道を入れて搬出する為の第一段階なんです。
社長がピンっとくる例えをおっしゃいました。
『野菜作る時、沢山種蒔いて、ある程度大きくなったら
 間引くじゃろう?それを全部食べんじゃろう?』

 *その②* 全ての山に道はつけられないんです。
高密度に路網を張り巡らせて、
どこからでも材を引き出せ、搬出出来るように整備する。
勿論、目指すトコロです。
でも、日本中全ての山で可能か?と言われれば・・どうでしょう。
余りに険しく、岩盤質で、水の出入りが激しい山。
無理に高いお金をかけてガチガチの道を入れるより、
何年かごとに切り捨て間伐を繰り返し
80年、100年先の主伐(全伐)を目標として育てる方が良い、
そうせざる得ない。と、いう山もあると思います。


 『間伐』については、林業従事者の中でも
賛否両論、色々な意見がある事を知っています。
だから、必ずしも自分の考えが正しいとは思っていない。
まだまだ沢山の事を知らなくてはいけないと感じています。
一番考えなくてはいけないのは
いかに補助金に頼らず、林業を成り立たせて行くのか・・・
と、いう事なのでしょう。


 ただね、『無駄な補助金』と決めつけて欲しくなかった。


        by、ナカシマ アヤ

 



  
 

コメント

Posted by: y氏の班長   [ 2009年10月17日 15:50 ]

そんな現場内情を知りもしない官僚にやる給料こそ無駄ですよね。
根こそぎ首きってやりゃあええんじゃ。

Posted by: y氏の班長   [ 2009年10月18日 16:52 ]

追伸 
切捨て間伐じゃなくて
受光間伐とかに変えたら?
呼び名が変わるだけでもなんか必要って気がせん?

Posted by: アヤ   [ 2009年10月18日 23:05 ]

Y 氏の班長さんへ


ナルホド、受光間伐かぁ。確かに響きが宜しいですね。
切り捨て間伐は下刈りと同じ" 造林・保育 "の一貫とは捉えられないのか・・・と話してました。

Posted by: 神戸のキコリ   [ 2009年10月19日 02:10 ]

もうすぐ全林協の本(林業現場人 道具と技Vol.1 チェーンソーのメンテナンス徹底解説)が出ますね。


 民主党ってまだ林野行政に疎い人が多すぎるのだと思います。

 数年前、自民党にスーパー林道の問題を追求したことが頭にあっての発言なのだと思います。


 山間部の選挙区でも林業従事者より農業従事者のほうが多いので農政の方に興味が行ってしまうのが現実ですね。
 愚痴っているだけでなく林業の現実を現在与党の民主党のスタッフ(議員は忙しいと思うので地元に残っている秘書さんとか)に伝えないと理解されないのだと思います。(いろいろと画策しているのですがまだ実になっていません。)

ここを見て、山仕事を知っっていく人も多々いると思うので一般の人にも解ってもらえる書き込み方をしないといけませんね。
 

Posted by: こーりきー   [ 2009年10月19日 11:39 ]

書こうかどうか悩みました。
誤解を恐れずに書くとしたなら・・・・


戦後のどこへでも造林。
これがいけなかったのは明らか。
ここの総括は国ではまずは出来ているのでしょうか?
総括なき上になにかを計画しても・・それは無駄です。
みんなが同じ方向を向けるわけがありません。。
そして
その上で
今後進むべき道は?


やはりなんでも使いたい。
だと思います。
有効に・・資源は。
いえ・・生活を豊かにするためのものだって良いのです。


時間がかかるから、
陽を入れるためにまずは切り捨て間伐・・丁度そんな時期なのでしょう。
そんな気がします。
そこを支えている方達はすごいといつも思っています。。


でも・・
使えるものは使う。
それがエネルギーとしてならすごいですが、
他の地球に優しくないものの代わりだったとしても・・
きっと
25%カットは
そんなに難しい話じゃないと思うのは私だけでしょうか?


そして
それは出来れば・・マイレージ
近くで出たものは近くで使う。物流システムをかえることや、大きい工場が全てではないこと・・山村でも起業してやっていけることにみんなが気付くことではないでしょうか・・
アイデア一つだと思います。。
それには多様性を認める社会風潮が必要だと思います。。
森の多様性を知ってもらう活動も大切だと思います。。
二酸化炭素は樹が身体にいっぱい貯めてくれます。
捨てておけば大気に戻ります。
使わないなら埋めるのも一つの手でしょうが
使って法隆寺みたいに樹を1000年以上も生かすことがで来たら・・これはすばらしいこと・・というか
林業関係者の夢はここですよね。。


そういう
ちょっと今までとは少し違った発想
いえ・・
今までの心ある方達がずっと考えてきたであろう考え方が表にやっと出てこられる状況になってきた・・と
今の変革を私は理解しているのですが(^^)
声を出せる世の中。。


・・きっと
議論に油を注いだかな・・ハハ
すみません

Posted by: た~   [ 2009年10月19日 22:32 ]

神戸のきこりさん
こーりきさん


コメントありがとうございます。

実は、この話題を書くべきかどうか?
ナカシマから相談がありました。
その時に「議論になるのも良いかもね。」
とOKを出したのは私です。


戦後の一斉造林については、
その時代背景を考えた上で賛否があるのは承知のうえで
今後の林業をどうして行くのか?
そして今、私たち林業関係者は何が出来るのか?


今日出来る仕事を頑張りながら、
理想を追い求めることも必要だと思います。


ひとつの事象(切捨間伐)のみに囚われると
それこそ
「木を見て森を見ず。」
になるのではないでしょうか?
現場の数だけ、施業のシステムが有っても良いのではないでしょうか?

利用間伐が良い山も有れば、切捨間伐をしなくちゃいけない山も有る。


今本当に必要なのは
多くの人達に、林業の現状と進むべき道を伝える事だろうと思います。

Posted by: ERI   [ 2009年10月21日 22:37 ]

まだこの話題?
という感じかもしれませんが、やはりかなり引っかかっています。
以前なら、「わかってないな」と放っておいて良かったと思いますが、最近の閣僚発言への注目度は従来とはケタ違いです。一般の視聴者に偏った(敢えて間違ったとは言いませんが…)刷り込みをされたままで良いのか、できる事なら発言者に実情を理解してもらい、違う場面ででも修正していただく努力をすべきではと思います。
しかし現在のところ、林業関連の団体が連携して申し入れを行うといった動きにはなっていないようです。
ある環境担当の民主党議員につてがあり、対応をお願いしてみたところ、調べてみたがその発言者が誰なのかわからないので、情報が欲しいとのことでした。名前がわからなければ、ご覧になった日時、TVの番組名でも良いので、教えていただけませんか?

Posted by: いご   [ 2009年10月22日 08:57 ]

いつもこのブログ拝見しています。
近畿在住で日曜ごとに自分の山で補助金頼りに細々と間伐、枝打ちに精を出しています。
いい話題を提供していただき、ついつい私も発言したくなりました。
数年前に亡くなった父の時代には、毎年立木を売って山林収入があり、春といえば檜の苗がどっさりうちの庭に配送されてくるのが毎年のことでした。
ところが、私に代替わりするころには、手入れ盛りの山で私と委託している作業者で、補助金たよりに切り捨て間伐と枝打ちにあけくれるばかりです。
それでも放置林と化している隣の山と比べると、少しばかりは環境に寄与しているのではとささやかな自己満足を感じています。
もともと民主党議員に林業への理解者がいるようには思いませんでしたが、農業政策の転換のセンスでやがて林業も大きな変化が到来するであろうと期待を持っています。
この無理解な閣僚の発言は、しっかり指摘をして改めさせれば、ある意味時代が進むきっかけになるのかもしれません。
そういう意味で、無茶苦茶な間違いでも閣僚に林業に関する発言をしてもらうのはとてもありがたいことです。

Posted by: た~   [ 2009年10月22日 21:10 ]

ERIさん
コメントありがとうございます。

どなたの発言かは、色々差し障りがありますので控えさせていただきます。

が、最近の情勢について私のブログにも記載しましたので
ご一読ください。

Posted by: ナカシマ アヤ   [ 2009年10月22日 22:04 ]

ERI さんへ


 同じ憤りを感じている同士ですね。心強いコメント、有り難うございます。
少し悩みましたが、ここで某閣僚を名指しする事は避けさせて頂きます。・・・なんだかそれでは悔しいのです。悔しがるトコロじゃないかもしれませんが(苦笑)
別の方法で、もっと大きな声で伝える事は出来ないのか。勿論、某閣僚一人にではなく、広い視野で。


相変わらず野望だけはデカイです(笑)

Posted by: ナカシマ アヤ   [ 2009年10月23日 06:57 ]

いごさんへ


はじめまして。
良いも悪いも、おっしゃる通り話題として取り上げてもらえるコトがチャンスですよね。無関心であるコトが一番恐ろしいですから。


コメント、有り難うございます。

Posted by: ERI   [ 2009年10月23日 22:19 ]

た~さん、早速ブログを拝見しました。本当にそうですね。
アヤさん、お気持ちはよーくわかりました。
私も半端な突っ込みではなく、もっと大きな広がりを持つ流れを作る事で、情況を変えていきたいという気持ちは一緒です。
以前、知人が、「普通の人に林業の事を理解してもらうには、朝の連ドラで林業に挑戦する女性をヒロインにするのが一番良い」と言っていましたっけ。
アヤさんがモデルになって、そのうち実現したらいいなぁ…
動けば何かが変わる、という政治・社会の状況が作られようとしている今、私もいつまでも誰かを羨んでいないで、大きな一歩を踏み出そうと思います。
野望に向って(笑)

Posted by: 飛魔人   [ 2009年10月24日 03:02 ]

こんばんは。初めてコメントさせて頂きます。
こちらのブログは、林業に関わる方が多いので、フルボッコにされる覚悟なんですが・・・

”切り捨て間伐”を「無駄」と言われた事に対する、憤りは理解できます。私も会社から所属していた部署そのものが、「会社の贅肉」と社長から言われた口ですので。
ただ、消費者の立場からの正直な意見としては、「搬出が困難なところまで、植林する必要があったのか?」という疑問が、この手の話題が出る度に頭を過ります。
私が週末に遊んでいるフィールドでも、切り捨てられた間伐材を目にしますが、元口で15cm~20cmもあるものが、道路際にゴロゴロしているのをみると、「搬出費用が赤字てホントなのか?」という思いが募ります。
DIYで建てている六畳一間の山小屋の材料ですら、国産材にこだわると納期が発注から一ヶ月単位っていう、現状を経験していると、「切り捨て間伐もやむなし」と考えている私でも、「無駄な補助金」って言いたくなります。

林業に携わる方々に元気になって欲しいから、問いかけます。
消費者が「買いたい」と願う「商品」を創っていますか?
消費者が「欲しい」と思った時に、納品できる体勢をとっていますか?
この二点をクリアしていますか?

Posted by: た~   [ 2009年10月24日 07:17 ]

飛魔人さん 
コメントありがとうございます。

このブログ、林業関係者ももちろん読んでるみたいですけど
一般の方々も結構ご覧になっているようです。


で、ご質問の件も含めて
ここでコメント返しするには余りにもテーマが大きい。
そして、ナカシマに全てを押しつけるのも酷かな?と思いますので
私の方のブログでお返事いたしたいと思います。

お時間が有りましたらご覧ください。
(それでも数日にわたっての記事になりますが・・・(^_^;)

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