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森からの宅配便

森林に関わる仕事に就いてもうすぐ20年。日々の泣き笑いをご覧あれ!

2008年7月25日

吉和に住むという事

 映画が好きです。

学生時代は週に一度、
卒業後も、月に一度は必ず映画館に足を運んでいました。

いわゆるハリウッド映画より
ミニシアター系と呼ばれる、少しクセのある作品が好み。


 便利な世の中と言いましょうか、
映画館、レンタルショップさえ近くにない吉和に居ながら
インターネットを使い、DVDを借りる事が出来ます。
作品を予約すると2〜3日後、郵便で届き
観終わった後はポストに入れて返却するというシステム。
勿論映画館で観る事には適いませんが、まぁまぁ満たされています。


しかし、この作品だけは譲れない

 『崖の上のポニョ』

宮崎駿作品は必ず映画館で観ます。
風の谷のナウシカ、天空の城ラピュタ、もののけ姫・・・
風でさえも色彩を感じられる
独特の自然描写にとても惹き付けられます。

早速明日の休みに観に行くかと意気込んで
調べてみました。


 一番近くの映画館は広島市内。
下道なら片道2時間・・・一作品観られるやん!
高速使えば50分かぁ。アリだな。
えっと、高速往復¥3300+映画代¥1800+ガソリン代...かぁ
・・・映画一本観るのに、¥5000以上かかるんですかっ!?

う〜ん・・・そう。そうなのよ。ねぇ・・・そうなんだよ。
ミョウに納得してしまいました。


 工房前の空き地に住むキジのつがい
 土と太陽の香りがする、もぎたてのトマト
 リビングの網戸にとまって光る蛍
 凛とした霧の中からこぼれる朝の光


ポニョは今度神戸に帰った時でいいや
私は今、priceless の喜びの中に居るのだから。

       
     by.ナカシマ アヤ

2008年7月22日

日焼けにまつわる etc...

 二連休、神戸に帰って来ました。

会う人、会う人

『焼けたねぇ・・・』
『焦げたなぁ・・・』

当の本人、自覚症状全くナシ。

 先週から作業道の草払い作業に入っています。
照りつける太陽の下、
ほとんど陰のない道を刈払機ブンブンいわせてるんだから仕方ないか。


日焼けと言えば思い出します。
それは大学二回生の出来事。


『レ・シルフィード』

 妖精達の幻想的な世界。
とても静かな、それは美しいバレエ作品です。
衣装は真っ白なロマンティック・チュチュ。
髪の結い方まで決まっているザ・古典作品。

夏休み明け、舞台上での照明合わせの時。
楽屋でバタバタ準備する最中、皆が私を見て大笑いです。
山に、海にと散々遊びつくした私の肌は小麦色。
御丁寧にピッチリ水着の型。

『アヤ・・・これはヤバいでぇ・・・』

大量の粉をひたすらはたき、なんとか誤摩化します。
これで大丈夫。


 しかし、舞台の幕が上がって5秒後・・・

『・・・ナカシマ アヤァ!!!!!!』

客席で見ていた先生がマイクで大声を張り上げました。

苦労の甲斐なく、照明の色で全てが飛び
私の背中にクッキリと水着の型が浮かびあがっていたのです。
まぁ、日焼けした妖精はオカシイですよね・・・(笑)


リハーサル後、
『舞踊生たる者、日焼け厳禁
 水着の型なんざ、言語道断!!!』
と、こっぴどく叱られました。

『先生、わかりました。
 来年からはトップレスで泳ぎます。』


その後、さらにさらに叱られたのは言うまでもありません・・・(笑)


      by.ナカシマ アヤ

2008年7月16日

キレイゴト

 道を開設する為、山の伐開作業を行いました。


広葉樹の伐倒。
『木を初めて切るつもりでやりなさい。』

 社長の言葉通り、今までのスギ・ヒノキと訳が違う。
木の固さは勿論、枝の張り、根の張り、
受け口・追い口の入れ方、裂け方・倒れ方、、、
樹種によっても異なってきます。

熟練作業員の方に習いながら
一本、一本、時間をかけて伐倒してゆきます。


 アッと言う間に15時の休憩。
次に切るブナの下で休む事にしました。

私の両腕では抱えきれない立派なブナ
伸び伸びと枝葉を広げ、高くそびえ立っています。

『いい木だなぁ・・・』

そう思った瞬間、熱いモノが込み上げてきました。


今まで人工林の中で仕事をしてきて、
間伐の必要性、重要性に疑問を持った事はありません。
今回のコノ道にしても
材を搬出する際に、又住民のライフラインとしても
重要な役割を担っています。

それなのに何故こんなにやるせないのか。
自分の中に大きな矛盾を感じました。

そんなのキレイ事
なんて甘っちょろい
頭の中がゴチャゴチャの自分を

『しっかりしろ!!』

と、奮い立たせますが流れるモノが止まらない。

ただ単純に15分後
このブナの木は、ここに立ってないんだという事実が辛かった。


 仕事終わり、事務所に戻り
社長にコノ道についてお話を伺いました。
やはり、不可欠なもの。
このような道をつける重要性を、きちんと回りに説明出来る事も
林業従事者の大切な仕事なんだとも言われました。


頭では十分納得。
心の中・・・正直、まだ少し乱れています。


       by.ナカシマ アヤ

2008年7月14日

両親の話

『親の顔が見たい・・・』

今までに何度か言われました(笑)
分からなくもないですが。


先週、両親が吉和へ遊びに来ました。
まぁ結構突然に。

中島家、皆に言える特徴ですが
フットワークが軽い
じっとしていないと言いましょうか。
大学卒業後、国内外ウロウロし回る私に

『地球内なら構わんが
 月に行く時は、相談してくれ。』

そう言った父の言葉が忘れられません(笑)


一見、勝手気ままに放任されてる様に見えますが
ちゃんとオキテなるものがアルのです。

人生の要所、要所の節目と言いましょうか
そう言った大事な道筋を決める時、
家族会議が開かれます。
どうして、今そうしたいのか。どうして、そう想ったのか。
必ずお互いが納得ゆくまで
何時間でも何日でも話合います。

そうして答えが出れば
その後の行動に対して、全く口を挟みません。
ただ、ただ見守るのみ。
勿論helpを出せば、いつでも手助けをしてくれます。
こちらの要求がない限り
ただ、ただ見守るのみ。


我が親ながら、本当に忍耐強い・・・
娘が現場に入って山仕事なんて
何か言いたくて言いたくてたまらないでしょう(笑)
そこをグっと飲み込んで
ムスメの行動を信じ、応援してくれている両親。

この信頼感こそが、私の原動力。
そう言っても過言ではないでしょう。


両親には感謝しています。本当に。

P7080607.jpg


     by.ナカシマ アヤ

2008年7月11日

スギの主張

 もうすっかり夏日の毎日です。


都会ではバーゲン時期で街が活気づいてる事でしょう。
吉和では刈り払い機の音で村が活気づいています。


ついに恐れていたシーズンがやって来ました。
夏場の下刈り・・・
一年で最も過酷とされる仕事です。


まずは初級編。
傾斜が緩い山での作業です。

まぁ、下草のよく伸びている事。
6〜9年生のスギなので100cm以上あるのですが
すっぽり下草に隠れてます。

基本は山の下部からジグザグに上部へ向け
刈って進みます。


いざ、生い茂る山の中へ。


相手が新人の私と知ってか

『ここにワタシ、生えてます!!!』と、

一生懸命スギが主張しています。
一振り誤れば、
間違えなく、スパンっと全てを吹っ飛ばすので
慎重に慎重に・・・


地表には切り株あり、岩あり、積み木あり、と
色々な障害物が草中に潜んでます。
テンポよく進むと間違いなくキックバック
(刃が障害物にあたり、反対側に弾き返される現象)
を起こします。


まぁ、しかし。
やはり、やってしまいました。
古株を弾いたかと思うと、すぐ横にあったスギに命中。
スーっとスローモーションで私の肩に倒れかかってきます。
『無念・・・』と言う声がドコからともなく聞こえました。


『はぁ、切ってしまってもせやぁ、ないです。
 又地面に挿しときゃぁ、2・3日青々しとるけぇ
 誰も気付かんですよ。』


今朝、そう言って笑いながら送り出してくれた
熟練作業員の方の声が甦りました。


ごめん。ごめんよぉ・・・


心痛めながらも前進あるのみ。


夕方、作業後の満足感は格別です。
ただの草山だった斜面。
下草を刈る事で現れた、等間隔に並ぶスギ。

隣、近所、互いの身の無事を確認し
気持ちよさそうに風に揺られていました。


     by.ナカシマ アヤ

2008年7月 9日

ココロの余裕

 緑の雇用研修生は、その日の作業内容・使用機械・反省点など
研修日誌を毎日書きます。

 一週間の終わりには
安全性、技術面、体力、やる気など
全5項目を5段階評価で自己採点します。

 3ないし4を付ける項目が多いのですが
日誌を書き始めた当初から、2以上にならない項目があります。


『心の余裕』


安田社長もそんな私に気付いておられ、
どうしたら『心の余裕』がうまれるのか
レポートを出すよう言われていました。


考えても、考えても答えは一つ。
知識と経験が身に付いて、
初めて心に余裕が出来るモノじゃないんですかっ!?
私からは、まだまだうまれませんよ・・・
そう思っていました。


でも今日、ふと気付いたのです。


 自分自身で余裕を打ち消しているんだ。


近頃、仕事のスピードが上がってきています。
一日の終わり、自分の施行した範囲を見るのが密かな楽しみ。
昨日より今日、今日より明日
と、変なプレッシャーで自分を追いかけていました。

決してやってはいけない、斜め切り。
この位の細い木なら・・・
受け口、追い口を取るものの
大体この方向に伐倒しようという
ゆるい意志でチェーンソーを入れていました。


その結果、施行後の山は?
 

昨日、私達の班で施行を行った山を社長が見に行かれ
仕事の荒さにショックを受けたと聞かされ
社長と共に見に行きました。


 『自分の山なら正直にどう思う?』


確かに間伐して山に光は入り、
玉切り・枝払いされ規定は満たされています。

ただ、地表面・切り口が全く美しくない。
あちらこちら好き放題に散らばる残骸。
美しい山、と言える状態ではありませんでした。


『誰が早く仕事を済ませと言った?
 こんな切り方、誰が教えた?』


仕事量を増やす事ばかりに気を取られていました。
そもそも林業を志した動機は?
美しい山を、将来に残す。
それなのに、この山はどうよ?

本当に恥ずかし思いで一杯でした。


心の余裕。それは、
山に対する山主に対する想いからうまれるものだと思いました。
丁寧に、美しい仕事というのは安全な仕事でもあります。

例えば、仕事終了まで後5分。
この二本を切ってしまおう・・・の急ぎではなく
この一本、より確実な伐倒方向、
いかに美しい状態で残せるか・・・山を思うのです。


『仕事のスピードは後から必ず付いて来る。
 そんな事より今は
 正確で丁寧な仕事を確実にこなせる技術を
 叩き込む時期なんじゃ。』


難産ですが、やっと『心の余裕』がうまれてきそうです。


     by.ナカシマ アヤ

 

2008年7月 5日

反射鏡式実態鏡

 先日『ナヤミゴト その弐』の中でふれた

”航空写真を重ね合わせて覗き
 地形を立体的に見る事の出来るまか不思議な装置”

 について。


 正式名称*反射鏡式実態鏡
 製造元*東京光学機械株式会社

『実体視出来る様に撮影した二枚の写真を
 本鏡を用いて観察しますと
 写真上の物体は全て立体的に浮かび上がって見えます』


 ちなみにこんな姿をしています。


P7030606.jpg


どうです?まか不思議な機械でしょう。
そして、こんな風に覗き見します(笑)


P7030605.jpg


端から見ると、ちょっとおかしな感じがしますが
覗いて見ると、アラ不思議!!
焦点さえあえば、3Dの世界に御招待。
面白いんですよ。本当に。
私物として家に置いておきたい程

ちなみに航空写真は
(株)グリーン航業 で購入出来るそうです。


興味のある方、
私も覗きたい!!っと思ったソコのアナタ、
是非一度吉和、安田林業までお越し下さい(笑)


    by.ナカシマ アヤ
       

 

2008年7月 2日

雨の日の事情

 
  雨がしょぼしょぼ降る晩に
  たぬきがトックリ持って酒買いに
  酒屋のおやじにおこられて
  お豆みっつで泣きやんだ


 間伐前の山では雨に濡れません。
見上げると隙間なく枝が広がり
太陽の光も、雨も風も入らない。
まるでドームの中です。

 一度チェーンソーを入れ出すと、さぁ大変。
なんせ二度の雨に降られるのです。


 天からの雨
 葉から落ちる雨


特にヒノキ。
少し傾き出すとドサッと一気に
溜められていた雨水をかぶります。


木は天然のダムと言いますが
身をもって感じます。


大量のブトにかまれ
ぬかるむ斜面に何度もシリモチをつき
思わぬ方向に滑り落ちてくる木にヒヤリとして
湿気と汗でグチョグチョの体で一日を過ごし
本当に散々な雨の日の現場

なのですが、
晴れの日には無い
生々しい山の生命力を感じる瞬間
私の足を一歩一歩、先へと進めます。


     by.ナカシマ アヤ


 P.S 冒頭に書いたのは
   幼い頃、父に教わった歌です。
   雨の日の大好きなテーマソングです(笑)
      

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森からの宅配便 西中国山地の山あい広島県廿日市市吉和で林業から木工まで、森林にどっぷりと浸かって抜け出せない毎日を送ってます。

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