筑紫哲也さん死去
学生時代、NEWS23あるいは週間金曜日が好きで、それはつまり、筑紫哲也さんが関わっている仕事だったというのが大きな理由でした。
私さんの筑紫さんに対する印象…いろんな出来事の中で、善悪、白黒はっきりできることは少なく、むしろ白と黒との間の灰色、その濃さに真実はある…そんなスタンスが好きでした。かといって日和見主義ではなく、時流に流されない軸足をしっかりと根付かせていらっしゃったように思います。
実は私、自分の修士論文の最後の締めくくりの部分に筑紫さんの多事争論を引用させていただいているのです。
下川という「ちっぽけな」フィールドから内発的発展の鍵を握るキーワードを突き詰めてたどりついたのは、結局のところ、「共同」と「協同」という人と人との間で生きるがゆえに「人間」である我々にとって避けては通れない、人と人との繋がり・絆の問題であった。人間的に発展しようとする内発的発展であるがゆえの人間的な課題であると言えよう。
TBS系列のニュース番組「ニュース23」のキャスターを務めるジャーナリストの筑紫哲也は、1999年1月14日放映の「多事争論」のコーナーで「再び絆」と題して我々に次のようなメッセージを送っている。
「4年を経とうとしている神戸の震災の後で、そこから立ち上がる人たちにとって、ほとんど決定的な意味を持っていたのは、地域社会なり、あるいは新しい人間のつながり、家族なり、いわゆる絆のあるなし、それがどのくらい強いかということです。先ほどのVTRもそのひとつの例だろうと思います。~中略~今、伝言ダイヤルから、インターネット、携帯電話を含めて、新しい絆が問題をいろいろ起こしております。これは病的な、あるいは擬似的な絆だという言い方もありますが、それでは本来、私たちの社会が持っている絆は、どうなっているのか。それがズタズタになっていたり、あるいは、旧来の絆というものが、大変居心地が悪い。そういうことから、新しい絆を求めようとしているのかもしれません。絆をどう作っていくか。どのような形を作っていくか、というのが、私たちの社会の課題ではないかと思われます」。
私はこの課題の答えを探しに、町職員として「再び下川町へ」挑もうと思う。いつの日か世界が、そして私自身が内発的に、人間的に発展する日を夢見て。
あれから10年が経とうとしていますが、答え探しの旅はまだ続いています。これからは、筑紫さんの言葉の中に進むべき方向の手がかりを求めることができないのだと思うと、寂しさが募ります。
心からご冥福をお祈りします。
コメント
Posted by: Anonymous [ 2008年11月15日 23:35 ]
News23から密かに考えるテーマを与えられていました。
10年ぐらい前でしょうか、筑紫さんが
カリフォルニアワインのリスナー方に
造り手の「芸術的」と「天才的」の違い
を質問なさっていて、その回答やその後
のやりとりにすんご~くアレです、アレ。
ナスさんも色々影響を受けたんですね。
緒形拳さんに続き、淋しさひと塩です。
心から御冥福をお祈りします。
Posted by: ナスケン [ 2008年11月18日 11:10 ]
>トクメイさま
News23のアレのひとつが筑紫さんといろんな分野の第一人者との対談でしたよね。
エンディング曲も名曲が多かったですね。私の中のNo.1は井上陽水奥田民生の「手引きのようなもの」!奥田民生バージョンも流れたのは当時レアでした。最近発売された民生のカップリング・ベストに収録されてます。