娘と秋の森へ
久しぶりに娘と森へ行った。夕暮れ前の太陽に横から照らされた森の中は光に満ちていた。輝いていた。喜びにあふれていた。それはまるで雨上がりの清冽な空気を森も楽しんでいるようだった。
娘はしきりに「あっこ」と言って抱っこをねだりながらも時々黄色い落ち葉を見つけては「はっぱ」と言って拾い集めていた。娘が拾う落ち葉はすべて黄色の同じ種類でハート型に似たシナノキのものだった。
しかし一つとして同じ黄色はなかった。葉っぱが集まるにつれ黄色のグラデーションができていった。
森をしばらく歩くと見えてくる草原に一本だけ残された「縁桜」は、枝先の葉が赤くなっていて一年に二度目の艶姿を見せようとしている。その桜の下へ行くと遠くで牛達が草を食んでいるのが見えた。
娘が「あっち」とせがむので牛の方へと歩いて行くと、牛がこちらに気づいたので立ち止まったら、今度は牛の方からこちらに寄ってきた。あっというまに周りを囲まれたが、娘は怖がる様子もなくじっと見つめていた。
触ろうとすると牛たちは後ずさり。こちらが帰ろうとすると後をついて来る。この繰り返しを何度かしながら桜の下まで戻ったときの写真が記事のトップのもの。
お別れをするときに「タッチ」と言って手と手を合わせるのが娘の癖だか、結局牛とはタッチできなかった。
今日の出来事を娘は記憶しているのだろうか?会話ができるようになったら聞いてみたい。