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トップページ > 農山村の背景情報 > 山で生きる・森をつなぐ仕事<part.3>

農山村の背景情報

05 きのこは生き物だから・山本保幸さん(シイタケ生産/鹿児島)

05_山本さん.jpg 横川はシイタケの産地として、県内でも知られている。原木のクヌギも多く、気候も適しているのだ。山本さんは、祖父の代からのシイタケ栽培を継いで35年。祖父の故郷、大分県から迎えた百合子夫人との二人三脚で、家業に取り組んできた。
 先代までは乾燥シイタケ専門だったが、保幸さんの代、昭和60年頃から生シイタケの生産も始めた。
「生と乾燥を併せれば一年中出荷できるけど、一年中忙しいのよ。その分、一回の作業量は少なくて済むけどねえ」と百合子さん。11月から3月までは生シイタケの最盛期で、忙しさもピークを迎える。「経営者としては、キノコの出方をいかにコントロールできるかが勘どころ。生産記録などの栽培管理も重視しています。でもキノコは生き物だから、なかなか思う通りにはいきませんが」と保幸さん。
 毎年1万本ほど伏せ込む原木は、所有している約16町歩のクヌギ林から伐り出す分と、立木で買うもの等を併用する。いずれにせよ、原木伐採から搬出、コマ打ち、伏せ込みと、作業量は変わらない。
 原木の伐採は12〜13年周期。「伐る2、3年前に下刈りをしておくと、作業が楽なんだけど、なかなか手が回らなくて」と、今年伐採予定の林を見ながら保幸さんがつぶやく。
 鹿児島県では、一昨年から農林水産物の認証制度をスタートした。山本さんは椎茸農協組合長という立場上、昨秋から対象区分となったシイタケの認証基準作りには深く関わっている。この区分での認証を受けたのは山本さんを含めて現在三軒。食の安全に対し、消費者の目が厳しくなっている昨今、この制度がもっと普及し、安全な食べ物を届ける生産者の姿勢が市場に浸透してくれればと願っている。(絵と文・長野亮之介)

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