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農山村の背景情報

山で生きる・森をつなぐ仕事<part.2>

木肌に惚れた

広瀬達雄さん(さぬき市林業研究会・もっきん工房主宰/香川県)


06_広瀬さん.jpg  沢沿いの狭い林道をしばらく登ると、周囲の風景にとけ込むようにして建つ丸太小屋が現れた。4m×5mの母屋の他、別棟の風呂場と物置、川の上に掛けたテラスが付く。日本の気候に合わせて庇が深い軒に、和風の趣が。開口部が広く、丸太が比較的小径のためか、ログハウスに時に感じる圧迫感が無い。「僕はこの木肌に惚れたんですわ。こんなに美しいんだから、角材にしなくても十分イケるやないか」と設計から施工まで手掛けた広瀬さんは言う。
 地元の大手工務店に長く勤めた。一級建築士の資格を持ち、設計から現場の管理まで行う。施工は業者に任せるが、元々は自身が大工志望。小さい頃、建前を仕切る棟梁に憧れた。木の個性を見抜き、無駄なく使って組み上げた家に美しさを感じる。仕事で現場を踏むほどに、趣味の「家つくり」願望がつのった。
 約20年前、森林文化協会の講習会でログハウスを学ぶ。丸太を太鼓引きにすれば、少々曲がった木でも無駄なく使える。これなら、県内外に所有し、自ら手入れをしている約11町歩の山の間伐材も、生かせると確信した。以来、自宅の一部を少しづつ製材所に改装。10年前からは鉄筋ならぬ「もっきん(木筋)工房」と名乗る。建築確認申請の不要な10㎡以下のログ”キャビン(小屋)”を主体に、これまで延べ25棟を建てた。いずれは自分の山の木だけで一棟を建てたい。山の目星も付けている。120歳まで生きる予定なので、まだまだ時間はたっぷりとあるのだ。(絵と文・長野亮之介)

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