クラフト工房経営工房経営をどうチェックし、経営感覚をどう磨くか
川村純史さん協同組合木星会 代表理事(高知県大川村)
<経営のチェックポイント>
自己判断で価格をつけていないか
第二は、自分の製品の価値を自分で判断していないか、という点です。
クラフトマンの大きな難点は、自分で自分の製品の評価をしがちな点です。しかも適切な評価ができていません。それでは、市場が評価し、ユーザーが買ってくれる商品ができているのか、適切な価格であるのかが判断できません。自分の満足度で値段を付けてはいけません。ましてや、思いつきで値段を付けるなどナンセンスです。どんな製品であれ、その価格をつける根拠がなければいけない。
しかし、その根拠とは原価計算ではありません。基本は「価格は市場が決める」です。ですから、原材料がいくらで、労務費がいくらと、原価計算を根拠に価格を付けるのも問題です。その理由は、後ほどお話します。
多くの製品の主な販売先は地元ではなく東京や大阪といった都市圏になるわけです。従って、価格的なニーズなども勉強しなければならないでしょう。
山村では、「この木は磨いていくらになるんだろう?」といったような考え方で、自分勝手な発想をし、自分勝手な価格を付けてしまいがちです。しかし、それでは価格の安定性は生まれません。生産するたびに値段が変動してしまいます。当然、製品カタログも作れません。そもそもカタログなどという概念がありませんから。
経営の基本には、どんなことであれ不安定という要素があってはいけないのです。売る相手(その多くは問屋)がいて、小売価格はもちろん、卸価格がわかっていないと製品は売れません。
流通業者は自分たちにメリットがなければ、たとえよい商品でも、この価格では売れない、採算が取れないと判断すれば、契約は成立しません。