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農山村の背景情報

山で生きる・森をつなぐ仕事<part.1>

枝打ちはノコできちっと

岩本隆幸さん(森林組合/福井県)

10_岩本さん.jpg 岩本さんの手がけた山では、一本一本の木が根元から樹冠まで見通せる。間伐して6年という林分では、光をたっぷり受けた林床で、伐り置かれた間伐材を覆うように広葉樹が育つ。大飯地区担当のAGだった鋸谷茂さんが普及した強度の伐り置き間伐法を取り入れて8年。
「場所によっては半分くらい間引く。山主に怒られるんじゃないかと、最初は夜も眠れなかったね」と岩本さん。1〜2年で取り越し苦労と分かった。以前は何年経っても変わらなかった山が、目に見えて変化する。木が生き物だと実感。だから手入れにも気持ちが入るし、将来が楽しみに。休日には、今まで「鋸谷式」で伐った山を見て回るほどだ。
 高知県梼原町の出身。父親に誘われて、20歳の頃から出稼ぎの山仕事師に。兵庫、奈良、京都・・・。1年の半分以上は近畿地方の各県に住み着き、山仕事に明け暮れる。同郷者では、当時こういう生活が珍しくなかった。「経験のつもりで始めたけど、山仕事の自由さが合ってたんだね」。23年前に若狭に落ち着いたのは、夏が過ごしやすそうだったから。
 鋸谷さんに「優雅」と評される仕事ぶりの秘訣は、道具の徹底的な手入れと、段取り。刃物が良く切れれば、無駄な力はいらない。翌日の仕事を考えて一日を終えればペース配分がわかる。「気楽にやりたいから」という言葉を支える努力がある。一番楽しいのは枝打ち。「鋸谷式」導入以来、ナタからノコに替えた。
「良い山」の向こうに、「良い材」の姿が明確に見えている。
(絵と文/長野亮之介)

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