山で生きる・森をつなぐ仕事<part.1>
自然の味をそのまま届けたい
自然届け隊
(緒方重子さん・山野由紀さん・木村美香さん/熊本県)
平成14年度の全国林業グループコンクールで、自然届け隊は農林水産大臣賞を受賞した。結成してまだ3年と、隊の経歴は浅いながら、女性3人のしなやかなチーム運営と、お揃いのトレーナーが審査員の耳目を集めた。
3人が「届けたい」のは、主に新鮮な生シイタケ。生産は家族で、届け隊の仕事は販売と営業に主力がおかれる。いかに消費者の身になって発信出来るか。主婦ならではの視点が生きた。作り手の顔が見える安心感を、顔写真入りのシールに託した。八百屋の店頭に置く商品にはレシピを入れてみる。販路の開拓にも労を惜しまない。郵便局に売り込んで、配布商品に干しシイタケを使ってもらった。クレーム対策のつもりだったシールは、商品と共に動く広告塔に。それまで各家庭では乾燥シイタケ生産が主体だったが、届け隊発足以来売り上げも伸び、生シイタケ生産量も増えてきた。「良いと思ったらとにかくやってみる。それがモットーです」と由紀さん。「ダメでもともと。愚痴をこぼさないのも心がけてます」と美香さんも。
以前はシイタケ農家に引け目を感じていたという隊長の重子さんは、届け隊の活動を通して自信がついた。女性ならではのフットワークがますます冴えることだろう。(絵と文/長野亮之介)