山で生きる・森をつなぐ仕事<part.1>
癒しの森をつくりたい
島袋江利子さん(ユーカリ造園土木代表・沖縄県)
海岸から車で15分。源下川上流、約3町歩の雑木林が島袋江利子さんの夢を託すスマヤマ(杣山)だ。「不思議なパワーを感じる魅力的な土地です」と島袋さん。斜面に新植されたグラバラス種のユーカリは精油用。葉をちぎるとツンとした香りが立つ。約一町歩の地拵えに際し、50トンのクレーンを使って伐木の搬出をした。環境負荷を最小限に抑える配慮だ。いずれは遊歩道等の整備をし、エコツーリズムを視野に入れた癒しの森「ユーカリファーム」を構想中。
ユーカリとの出会いは平成2年。「子育てと親の介護などが重なって。疲れた自分に癒しを求める手探りの中で知りました」。調べるほどにその可能性に魅せられ、一気に構想が膨らむ。翌年にはユーカリパークの青写真を描き、会社を立ち上げた。「家族も『やってみればいんじゃない』って感じで」と自然体でのスタート。
収穫できるユーカリ林も育っている。すでに入浴剤やハーブティー、キャンディなど数品種の商品開発をしている。顧客の中には、江利子さんの夢に共感してスマヤマを見に来る若い母親もいる。「女性が元気じゃないと、地元も活性化しない。この計画が、村おこしに繋がっていけば嬉しいんです」。
平成5年頃から女性林研グループ「やんばるユーカリ林業グループ」もスタートした。ユーカリの収穫の手伝いで集まった女性たちがメンバーだ。勉強会や新商品開発を独自に行っている。生活実感から生まれた「癒しの森」がいろいろな人々を巻き込んで次第に形を成していくのが楽しみだ。 (絵と文/長野亮之介)